日経メディカルのロゴ画像

N Engl J Med誌から
頭蓋内動脈へのステント治療は脳卒中リスクを高める
強化薬物療法のみと比較したSAMMPRIS試験、早期中止に

2011/10/03
西村多寿子=東京大学

 ベースライン時の両群の患者特性に大きな差はなかった。患者の経過観察は進行中だが、現時点での平均追跡期間は11.9カ月。PTAS群の15例(6.7%)にはステント留置が行われず、薬物療法群の9例(4.0%)には、追跡期間中のTIA発症によりPTASが行われた。

 登録から30日以内については、PTAS群の1次エンドポイントの発生は14.7%(95%信頼区間[95%CI]:10.7-20.1)で、うち非致死的脳卒中が12.5%、致死的脳卒中が2.2%だった。一方、薬物療法群は5.8%(95%CI:3.4-9.7)だった(P=0.002)。死亡は、PTAS群で脳卒中に関連した死亡が5例、薬物療法群で脳卒中に関連しない死亡が1例だった。

 周術期の脳卒中が2例以上発生した6施設のうち5施設は、登録数が上位の施設で、発生率は13.5%だった。周術期の脳卒中リスクは、登録期間を通して減少することはなかった。

 30日を超えてから評価対象部位で発生した虚血性脳卒中は、各群とも13例だった。1年目終了時点の1次エンドポイントの発生は、PTAS群20.0%(95%CI:15.2-26.0)に対し、薬物療法群12.2%(95%CI:8.4-17.6)だった(P=0.009)。

図1 1次エンドポイントに関するKaplan-Meier曲線(Chimowitz MI, et al. N Engl J Med. 2011;365:993-1003.)

 著者らは、「PTAS群の30日以内の脳卒中や死亡が多かったのは、術者の経験不足によるものではなく、登録時期や施設間の登録数の差異とも関係がなかった」と述べている。

 その上で、先行研究と比較して周術期の脳卒中が高率だった理由として著者らは、発症早期で70~99%の狭窄を有する患者を対象としたことで、遠位塞栓のリスクが増加した可能性を指摘。加えて、イベントの評価が厳密だったため先行研究では検出されなかった軽度の脳卒中まで検出したことも考えられるとした。

論文:
Chimowitz MI, et al. Stenting versus aggressive medical therapy for intracranial arterial stenosis. N Engl J Med. 2011;365:993-1003.
 

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ