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Arch Neurol誌から
虚血性脳卒中後のスタチン投与と脳内出血に関連なし
現行のガイドラインを順守すべきと著者

2011/09/30
山川里香=医学記者

 感度解析では、スタチン療法と事前指定のサブグループ特性(年齢、性別、社会経済的状態、主要併存疾患、抗血小板薬/抗凝固薬による治療など)の間に相互作用は見られず、ICHリスクは、用量にかかわらずスタチン服用者と非服用者で同程度だった(高用量群 HR:1.33、95%CI:0.30-5.96、低用量群 HR:0.86、95%CI:0.64-1.16)。スタチンと致死的出血性脳卒中の間に関連は見られなかった(HR:0.96、95%CI:0.63-1.45)。

 さらに特異度解析を行い、服用者バイアスやスクリーニングバイアスが大きいとは言えないことを確認した。

 加えて、マッチング前のコホート(6万6201例、追跡期間中のICHエピソード733件)において、ベースライン特性と主要評価項目との関連の強さを調査した。その結果、高血圧、ICHの既往、慢性肝疾患、経口抗凝固薬または抗血小板薬への曝露はICHと関連しており、ICHのリスク因子と考えられた。

 著者らは「今回の研究結果は、最近更新されたCholesterol Treatment Trialists’ Collaborationのメタ解析結果と一致している」と強調。

 SPARCL研究については、(1)スタチン投与に関連した出血性脳卒中リスクの絶対的増大はわずか(<1%)である、(2)予備的解析である、(3)出血性脳卒中とみなされたのは8例中1例で、95%信頼区間が大きい、(4)出血性脳卒中の定義が大まかで、くも膜下出血とICHを統合している、(5)主試験の論文では多重仮説検定による調整が行われていなかった――などを指摘した。

 また、虚血性脳卒中既往者へのスタチン療法実施を推奨している現行のガイドラインを引き続き順守すべきとしなががらも、最近のMarkov決定解析で、出血性脳卒中既往者、特に脳葉内出血既往者にはスタチンを投与すべきではないことが強く示唆されたため、こうした患者へのスタチン投与には注意が必要と警告した。

 今回の研究の強みとして著者らは、(1)大規模、(2)追跡期間が比較的長い、(3)多くの技術を用いて潜在的バイアスを低減した――などを挙げた。一方、限界としては、(1)血圧プロファイル、血中脂質濃度、神経画像上の白質病変、生活習慣などの出血性脳卒中リスクに関連する特性を入手できなかった、(2)観察研究だったため、スタチンとICHの因果関係を示せない、(3)割り付けにわずかなバイアスがあった可能性がある――などを挙げた。

 論説では、(1)HPSの結果は少数の出血性脳卒中イベントに基づいている、(2)SPARCL試験では対象者の約2%が出血性脳卒中既往例、(3)両試験の脳出血解析は予備的である、(4)HPSでは、虚血性血管イベントから登録までが長期間の場合も適格だった――などを挙げ、今回の結果との差は、研究デザインの違い(レトロスペクティブコホート研究と臨床試験)および潜在的限界により、少なくとも一部は説明される可能性があると解説。

 その上で、高レベルのエビデンスによりスタチンとICHリスクの関連に決着がつくまでは、スタチンを投与する患者に対しては、脳出血についての修正可能なリスク(高血圧など)を慎重に管理することを推奨した。

論文:
Hackam DG, et al. Statins and intracerebral hemorrhage. A retrospective cohort study. Arch Neurol. 2011 September 12.DOI:10.1001/archneurol.2011.228.

論説:
Gorelick PB. Statin use and intracerebral hemorrhage. Evidence for safety in recurrent stroke prevention? Arch Neurol. 2011 September 12. DOI:10.1001/archneurol.2011.234.
 

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