
図1 洞調率維持率に関するKaplan-Meier曲線(Nodari S, et al. Circulation 2011 Aug 15. DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.111.022194.)
1年後の追跡調査時、n-3 PUFA群の洞調律維持率はプラセボ群より有意に高かった(n-3PUFA群のハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[95%CI]:0.52-0.72、プラセボ群のHR:0.36、95%CI:0.26-0.46、P=0.0001)。
n-3 PUFA群37例、プラセボ群56例にAFが再発した。DCCVから初回AF再発までの平均期間は、n-3 PUFA群が168±116日、プラセボ群が139±113日だった。
Koweyらは2010年、AF再発率がn-3 PUFAにより低下しなかったと報告している。今回の結果はこの報告とは一致しなかったが、著者らはその理由として3点を挙げている。
まず、Koweyらの対象患者では持続性AFを有する患者が18%未満と少なく、AFの種類により治療に対する反応が異なる可能性があると述べた。
また、Koweyらの試験ではアミオダロンが除外されており、ACE阻害薬またはARBを使用していた患者は40%未満であった。著者らはn-3 PUFAについて、このような膜安定化抗不整脈薬およびリモデリング抑制薬と併用した場合にのみAF予防に有用である可能性を除外できないとしている。
さらに著者らは、Koweyらの試験ではn-3 PUFAの投与開始と同時に評価を始めていたと指摘。n-3 PUFAの心筋細胞膜への組み込みが最大となるには最長で28日を要することを示唆する実験データがあることから、Koweyらの試験で見られた再発のうち早期のものは、n-3 PUFAが最大効果を発揮するまでの時間が不十分だったことによる可能性があるとしている。
最後に著者らは、n-3 PUFAのAF再発予防効果が抗不整脈治療とは独立して生じるのかを判定するため、さらなる研究が必要だと指摘した。
論文:
Nodari S, et al. n-3 Polyunsaturated fatty acids in the prevention of atrial fibrillation recurrences after electrical cardioversion: a prospective, randomized study. Circulation 2011 Aug 15. DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.111.022194.