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J Am Coll Cardiol誌から
ACE阻害薬とARBは大動脈弁狭窄の予後を改善
重症患者でも改善を認める

2011/08/19
岡本 絵理=メディカルライター

 平均追跡期間は4.2年。この間の総死亡は1087例(51%)であり、ACE阻害薬/ARB投与群が284件、対照群が803例だった。また、心血管イベントは1018例(48%)であり、ACE阻害薬/ARB投与群が266例、対照群が752例であった。

 ACE阻害薬/ARB投与群の総死亡および心血管イベントは、対照群に比べ、いずれも有意に少なかった。ACE阻害薬/ARB投与群の補正ハザード比(HR)は、総死亡が0.76(95%信頼区間[95%CI]:0.62-0.92、P<0.0001)、心血管イベントが0.77(95%CI:0.65-0.92、P<0.0001)であった。同様に傾向スコア解析においても、ACE阻害薬/ARBの有益性が裏付けられた。

 ASの重症度により患者を二分しサブグループ解析を行ったところ、ACE阻害薬/ARB投与群の心血管イベントリスクは重症度を問わず低下していた。ACE阻害薬/ARB投与群における心血管イベントの補正HRは、軽度から中等度のAS患者では0.78(95%CI:0.64-0.94、P=0.01)、重度の大動脈弁狭窄症患者では0.64(95%CI:0.42-0.98、P=0.04)だった。

 著者らは、「ACE阻害薬やARBによりレニン・アンジオテンシン系が阻害され、心血管イベントの予防、圧負荷に対する左室反応の調節されたことに加え、おそらく弁膜症の進行が遅延したことにより、予後が改善したのではないか」と述べている。しかし、開口部の狭窄による左室流出路閉塞は機械的問題として残るため、長期生存率を改善する唯一の確実な治療法は弁置換術であるとも指摘している。


論文:
Nadir MA, et al. Impact of renin-angiotensin system blockade therapy on outcome in aortic stenosis. JACC 2011;58:570-6.

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