2009/03/24
子宮体がん監修:京都大学婦人科学産科学講座教授 小西 郁生 | ![]() | |||
子宮体がんの再発リスクは、がんのタイプ(組織型)、進行期(ステージ)、骨盤内や傍大動脈リンパ節までがんが広がっているかどうか、腹腔内に拡がっているか、他の臓器に転移があるかどうかなどによって低リスク、中間リスク、高リスクに分けられます。このうち、低リスク、つまり高分化型ないし中分化型の類内膜腺がんで、筋層への浸潤が浅く、子宮頸部への進展やリンパ節・他臓器への転移がなく、腹腔細胞診陰性であれば、再発のリスクは非常に低いと考えられます。
そのため、手術後に再発予防の化学療法や放射線治療を受ける必要はありません。「子宮体がん治療ガイドライン2006年版」が日本婦人科腫瘍学会から出版されていますので、ぜひご参照ください。
一方、低分化型のがんやタイプIIのがんの場合、または、子宮頸部への進展、リンパ節転移など子宮の外へ広がっている場合は中間リスクもしくは高リスクとなり、手術後に、再発予防の化学療法、もしくは放射線療法を受ける必要があります。
化学療法と放射線療法のどちらがよいかについては、まだ結論は出ていません。しかし、日本で行われた臨床試験の結果では、術後に化学療法を受けたグループと放射線治療を受けたグループで5年生存率に差はみられませんでした。ただし、手術でリンパ節郭清をした後に放射線治療を行うとリンパ浮腫という後遺症が出るリスクが増えるため、日本では術後補助療法として化学療法を行う施設が多い傾向があります。
実際にどの程度再発リスクがあるか、どのような追加治療が必要かは患者さんによって異なります。手術後の再発予防のために治療を受ける必要があるかどうかは、担当医によく相談してください。