2009/01/27
肺がん監修: 京都大学医学部附属病院呼吸器外科教授 伊達 洋至 | ![]() | |||
ピンポイント照射(定位放射線治療)は、複数の方向から病変にターゲットを絞って放射線を照射してがん細胞を殺す比較的新しい治療法です。非小細胞肺がんの3cm以下(IA期)で、年齢や合併疾患のために手術のリスクが高い人や手術を望まない患者さんに対しては、この治療を行う病院も増えてきました。
この治療法の最大のメリットは、手術に比べて体への負担が小さいことです。デメリットは、放射線肺臓炎などの副作用が起こる危険も数%あること、新しい治療法であるため、治療後しばらく経ってから起こる晩期障害についてはまだわかっていないことです。また、手術と比べて同等の治療成績が得られるかは科学的に証明されていないので、現在のところ標準治療とは考えられていません(IA期の患者さんの標準治療は手術です)。ただし現在、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)で定位放射線治療の治療成績を評価するための臨床試験が行われており、その結果次第で、標準治療の1つとして認められるようになる可能性はあります。
定位放射線治療が適しているかどうかは、がんの大きさや場所にもよります。あなたにこの治療が適しているかどうかは、担当医や放射線治療医の意見をよく聞きましょう。