2008/12/24
肝がん監修: 京都大学医学部附属病院 胆管膵・移植外科准教授 猪飼 伊和夫 | ![]() | |||
手術や内科的治療はがんと同時に肝臓のがんでない部分にも影響を与えます。肝移植を考えるのは、肝機能が悪く手術や内科的治療を行うとさらに肝機能が悪化して命に関わると考えられる場合です。しかし、進行した肝がんでは、再発してがんで死亡する確率が高くなるため肝移植は行いません。具体的には、肝移植の適応になるのは、肝機能が非常に悪く、5cm以下のがんが1個か、3cm以下のがんが3個以下の場合とされています。肝移植は肝不全を回復させる唯一の治療法ですが、3cmを超えたがんが複数ある場合や4個以上では肝移植後の再発率が高いと考えられています。
肝移植には生体肝移植と脳死肝移植がありますが、日本では健康な家族から提供された肝臓の一部を移植する生体肝移植のみが行われています。肝移植は、強い拒絶反応や合併症で命を落とす危険もあるリスクの高い治療法ですし、提供者(ドナー)となる人の負担も大きく、リスクもあります。移植の適応となる場合でも、担当医や心のケアの専門家、家族などとよく相談して移植を受けるかどうか検討しましょう。