2008/11/18
膵がん監修:京都大学肝胆膵・移植外科准教授 土井 隆一郎 | ||||
確かに、膵がんの家族歴は危険因子の一つです。家族に膵がん患者がいる人が、同じように膵がんになる危険性は、家族歴のない人の13倍だったという報告もあります。また、遺伝性膵炎、家族性大腸線種ポリポーシス、Peuts-Jeghers症候群(大腸に過誤腫ができる遺伝性の病気)、家族性メラノーマ多発性症候群、家族性乳がんなどの遺伝性の疾患を持っている人が膵がんになるリスクは、そういった遺伝性疾患のない人に比べて、4~5倍高いという研究もあります。しかし、このような因子は膵がんの原因のごく一部にすぎませんから、家族が膵がんになったからといって、心配しすぎることはありません。
膵がんの危険因子は、1)家族歴、2)糖尿病、慢性膵炎、遺伝性膵炎といった合併疾患がある、3)喫煙週間の3つです。危険因子が複数あると、それだけ膵がんになるリスクが高くなります。膵がんを予防するためには、まず、喫煙習慣のある人はすぐに禁煙し、生活習慣を見直して糖尿病にならないように気をつけることが大切です。
膵がんの早期発見に有用な検診法は、いまのところ確立されていませんが、危険因子のうち2つ以上に該当する人は、腫瘍マーカー検査や腹部超音波検査など、膵がんを早い段階で見つけるための検査を、定期的に受けたほうがよいでしょう。ご家族も同じがんになるのではないかと心配な場合は、いまかかっている病院や膵がんの治療件数の多い病院で、どういった検査をどのくらいの頻度で受けたほうがよいか、相談してみてもよいと思います。