2008/09/24
食道がん監修:京都大学医学部消化器内科准教授 武藤 学 | ![]() | |||
食道がんになった人のうち、15~20%の人は喉頭や咽頭にもがんを生じるといわれています。これには、同時期に併発しているケース、食道がんの治療後に喉頭・咽頭がんになるケースの2パターンがあります。特に、食道がんと喉頭がんや咽頭がんが併発している場合には、耳鼻咽喉科医と消化器内科医、消化器外科医、放射線治療医がチームを組み、どういう順番でどういった治療を行うか話し合って治療方針を決める必要があります。また、食道がんと喉頭や咽頭のがんとの関連性を認識していないと、食道がんの治療前または治療後に併発している喉頭・咽頭がんを見逃すことにもなりかねません。
さらに、咽頭・喉頭がんを併発していなかったとしても、喉に近い頸部食道にがんができたときに、がんを治しながら、できる限り声を出す機能を残すためには、食道と喉頭がどういう位置関係にあってどのくらい距離があるかをきちんと評価できる耳鼻咽喉科医の存在が不可欠です。日本では、がんを専門にしている耳鼻咽喉科医自体が少ないのですが、予後や機能温存のためにも、耳鼻咽喉科医が治療チームに入っているか確認し、そういう病院で治療を受けたほうがよいでしょう。