2008/08/26
大腸がん監修:京都大学消化管外科教授 坂井 義治 | ![]() | |||
遺伝子異常を修復する働きを持つ遺伝子の異常によって発生する「遺伝性非ポリポーシス性大腸がん」と、大腸に多数の腺腫ができる「家族性大腸腺腫症」の家族歴は、50歳未満での大腸がんを引き起こす危険性が高くなることがよく知られています。両親など、近い血縁者にこの病気の人がいた場合には、年齢にかかわりなく、積極的に大腸がんの検診を受けた方がよいでしょう。ただし、特に、遺伝性非ポリポーシス性大腸がんの場合では、この病気であるかどうかが正確に診断できない場合が多々あります。
そのため、この病気の診断を受けていない場合でも、血縁者内に大腸がん経験者がいる場合には、お子さん達の大腸がんリスクも多少高くなると考え、早期発見のために定期的に検診を受けることをお勧めします。大腸がんは早期に発見できれば、十分治癒するがんですので。
また、遺伝性非ポリポーシス性大腸がんの家族歴がある女性では、子宮体がんになるリスクも、そうでない場合に比べて高くなります。そのため、女性の場合、大腸がん検診のみならず、子宮体がん検診を定期的に受けることをお勧めします。また、子宮体がんの初期症状である不正出血などにも注意してください。
予防に関しては、これまでのところ、大腸がんを確実に予防できると証明された生活習慣はまだありません。ただし、運動が有用であり、野菜・果物の摂取は有用な可能性があるとされています。以前は、食物繊維の摂取が大腸がん予防に有用だと考えられていましたが、複数の大規模な研究で異なる結果が発表され、まだ結論は出ていません。
その一方、確実に大腸がんを引き起こすと証明された生活習慣もありません。ただし、喫煙・肥満・ハムなどの加工肉をたくさん食べること・飲酒は、いずれも大腸がんになる危険性を高めるとされています。