2008/07/15
乳がん監修:京都大学乳腺外科学教授 戸井 雅和氏 | ![]() | |||
乳房を温存した手術(乳房温存術)とは、病変のある部分のみを切除する方法です。ステージ0、1、2の乳がんの標準的な治療法となっています。これまでの研究により、乳房温存術を術後の放射線治療と組み合わせることで、乳房切除術と差の無い生存率となることが証明されています。そのため、現在、国内の新規乳がん患者さんの約5割が、乳房温存術を受けており、最も選択されている術式となっています。
ただし、乳房を温存しても、切除部位が乳房の大きさに比べて相対的に大きすぎれば、残った乳房は変形してしまいます。変形した乳房を温存するよりは、乳房切除術後に乳房再建術を受けた方が、手術後の満足度が高い可能性があるのです。乳房温存術後にどのような形の乳房になるのか、その場合、乳房切除術後に乳房再建術を受ける場合と比べて、自分にとっての満足度はどちらが高いと予想されるかを、十分、主治医の先生と相談し、納得したうえで選択することをお勧めします。
また、乳房温存術を行うには腫瘍が大きすぎる場合に、手術前に化学療法(術前化学療法)を受け腫瘍が小さくなれば、乳房温存術を受けるという選択肢もあります。術前化学療法のメリット・デメリットもよく聞いて、選択肢となり得るのか主治医に相談してみましょう。