自然とともに、のびのび暮らそう
がんの原因は分かっていませんが、それまでの心身の「使い方」も影響しているように私は感じます。再発を防ぐために大切なのは、問題点を是正した、今までとは違うスタイルで暮らすこと。
その答えは、自然との付き合い方にある、と私は考えています。
現代社会は便利になり過ぎて、一昔前の自然との付き合い方を忘れてしまったように思います。東日本大震災後、電力不足から、節電の工夫が呼び掛けられるようになりました。過剰な便利さから離れ、昔ながらの方法で自然と付き合うことは、人間の心身にとってよいことだと思います。幸い、父母は、不便を不便と思わず育った世代。あの頃の素朴な喜びを取り戻すことは、健康で元気な暮らしに役立つはずです。
がん治療経験者にとって、再発を恐れる気持ちは、慢性的なストレスです。病気発覚、手術の頃は「テンションが高く、短時間で決着する」急性ストレス状態。一方、治療後は「テンションは低いが、長く続く不安」との付き合い方を覚えなければなりません。
父の執刀医は「手術は成功したのだから、がんばってリハビリをして、社会復帰してください」と言いました。しかし、父はもはや、昔の仕事に戻る気概はないように見えます。タバコとウイスキーをやめたのは朗報でしたが、元気まで失ってしまったように見えます。
一方、漢方医は「がんの手術がうまくいって、助かった後は、おまけの人生。のんびり楽しんでいったらいい」と言いました。
父は今、新しい人生、おまけを楽しむ人生をどう生きるか、納得できるスタイルを模索しているのかもしれません。誰にとっても人生は一度きり。病気におびえながら過ごすのか。病気のことは棚に上げて日々を楽しく過ごすのか。人は、それを選ぶことができるのです。
終わりを迎えるその日まで、元気に楽しく過ごせたと、満足を感じられる生き方をサポートできたら、と私は思っています。
POINT
・考え方ひとつで、慢性的なストレスの回避は可能 |
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・失ったものを嘆くより、得たものに感謝を |
はにわきみこさんの連載は、今回で終了します。ご愛読ありがとうございました。 |
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