2010/02/09
がん治療の選択肢として、骨髄移植(BMT)と末梢血幹細胞移植(PBSCT)について「がんの治療―治療による副作用は何ですか」の章に記しました。がんになった子どもの一部がこれらの治療を受けます。あなたのきょうだいがどちらかの移植を受ける場合はこの章を読んでみて下さい。そうでなければ、この章は飛ばしてかまいません。
●一部のがんで骨髄移植や幹細胞移植が必要な場合がある理由
非常に高用量の化学療法や放射線治療ががんの治療に用いられる場合があります。これらの治療はがん細胞を破壊しますが、幹細胞のような正常な細胞もことごとく破壊してしまいます。
幹細胞は身体のあらゆる場所に酸素を運ぶ役割をする血球(赤血球)、感染と闘う血球(白血球)、そして出血を防ぐ血球(血小板)を作ります。幹細胞のほとんどは、骨の内部をしめる海綿状の物質である骨髄内にありますが、一部は血液中にも存在します。
・移植とは?
あなたがたから取り出された健康な幹細胞を闘病中のきょうだいに移植します。幹細胞は骨髄まで流れて行き、新しい赤血球、白血球、血小板を作ります。これらの新しい細胞はあなたのきょうだいががんの治療から回復するのを助けてくれます。
・ドナーになれるのは?
幹細胞のドナーとなれるのは、きょうだいまたはボランティアです。幹細胞は、がん治療の前に患者自身の身体から採取して、後で使用するために貯えておくこともあります。
ドナーについて:
・患者の幹細胞と適合する幹細胞の人がドナーとなります。すべての人が適合するわけではありません。
・患者のきょうだいは、血縁のない人よりも、ずっと適合しやすいのです。
・きょうだいでは1/4の確率で適合します。
・家族内に適合者がいない場合は、医療チームが世界中からボランティアのドナーを探します。
●ドナーとなったティーンが考えること
・『僕は怖かった。それは確かだ。どんなことをされるのか分かるまでは、ドナーになることにビクビクしていた』
・『両親が、ドナーになるかならないかは私の考え次第だと言われるまで、私には選ぶ権利がないと思っていた』
・『兄も、家族のみんなも私がドナーになれることを期待しているのを感じた。私はドナーになれてうれしかった!』
●ドナーになることを勧められた場合
『僕は今まで妹の治療の役に立つなんて思ってもいなかったから、幹細胞のドナーのことを知って驚いた。ドナーにならないかといわれたとき、僕は妹の役に立てる絶好の機会だと思った。ぼくは、最初にたくさん質問したのだけれど、そのとき看護師さんがとても詳しくちゃんと教えてくれた』-- Ethan,17歳
あなたがドナーとなることを承諾した場合、きょうだいと適合するかを確かめるために特殊な血液検査を行います。この検査で、あなたの幹細胞が適合しているかどうかが分かります。
●適合しなかった場合
『姉のヘザーも私も、がんになった妹のテイラーと適合しなくて、とてもがっかりしたわ。だれも私たちを責めたりしないけど、でも、つらい気持ちのままだわ。今、お医者さんが他の適合したドナーを探しているの』--Caitlin,13歳
あなたが検査を受けて適合しない場合もあるでしょう。がっかりしたり、きょうだいの期待を裏切ったように感じるかもしれません。
でも、適合しなかったのはあなたのせいではありません。家族のみんなが落ち込むことはあっても、あなたにがっかりすることはありません。
分からないことや、少しでもおかしいと感じたことは、何でも質問しましょう。以下にあなたが疑問に思うことを書いてみましょう。
(監修:東京大学大学院家族看護学分野 上別府 圭子)
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