2009/09/01
家族のがんという経験を通じて、家族同士のコミュニケーションの状態もその時々で変化します。大切な人とお互いにコミュニケーションがうまく取れていたときもあれば、あなたの気持ちや不安、または希望といったものを分かち合うことが難しいと感じたこともあるかもしれません。
がんの治療を一緒に乗り越えることによって家族の絆がより強くなったと多くの介護者が言います。治療が終わったら、状況が変わり、コミュニケーションが難しくなるのではないかと危惧する家族もいます。家族ががんになる前からコミュニケーションに問題があった家族は、今それがさらに悪化するかもしれません。家族の役割が変わることにより異なった感情が生まれることもあり、それは思いもよらぬ形で家族に影響を及ぼすことがあります。たとえば次のような状況が考えられます。
・成人した子供が、予想以上に回復に時間がかかることを受け入れられない。
・親の世話をしてきた成人した子供が、再び親に自らの意志で物事を決断してもらうことを、容易でないことと感じる。
・患者が成人した子どもの場合、その両親が、いまだに自分たちが子供を守らなくてはならないと感じ、子供の世話をし続ける。
治療が終了した後だからこそ、良好なコミュニケーションが以前にも増して重要であると言うのは簡単なことです。しかし、どのようにすれば治療後もあなたや家族、そしてあなたの大切な人が家族として成長し続けることができるのかを理解することは簡単なことではありません。あなた方全員にとって、この時期はこれまでに経験したことのない初めてのときであるということを、忘れないでください。状況が落ち着くまでには時間が必要です。
(監修:名古屋市立大学医学部 明智 龍男)
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