2010/11/09
性機能に対する医薬品の影響
手術や放射線療法、化学療法などの性的副作用の上に、さらに医薬品の副作用が加わってくる場合があります。がんの患者さんでは、受けている薬物療法が原因となって、正常な性機能を維持するための神経や血管、ホルモンなどに異常が生じてくる場合があります。意識や気分にも影響が及ぶ場合があります。こうした副作用は、鎮痛薬としてオピオイドを投与されている患者さんや、うつ病の治療薬を投与されている患者さんに発生してきます。
がんの患者さんにおける性的問題の治療
多くの患者さんが、がん治療終了後の最初の性的体験に対して恐れや不安を抱きます。恐れや不安を抱いた患者さんでは、愛情行為や接触、性行為などを避けるようになってしまう場合があります。一方のパートナーも、親密であることを強要するように感じられかねない行動や、身体的な不快感を与えかねない行動を開始することに、恐れや不安を覚えることがあります。患者さんとそのパートナーが担当の医師やその他の資格をもった医療専門家とこうした心配事についてよく話し合うことが重要になります。ここでは感情、心配事、嗜好について正直に話すことが重要になります。
一般に、がんの後に発生した性機能障害の患者さんには、様々な治療法が用意されています。また性機能の変化に適応していく際に有用となる書籍やパンフレット、インターネットの情報、ビデオ、CD-ROMなども利用できます。性機能障害の治療を専門とする医療専門家は、このような資料のほかに、支援を提供している公的組織の情報についても患者さんに提供することができます。患者さんによっては、ホルモン補充療法や薬物投与、医療機器の使用、外科手術などといった、医学的な対応が必要となる場合もあります。より深刻な問題を抱える患者さんの場合は、性に関するカウンセリングを個人で受けたり、パートナーと一緒に受けたり、あるいはグループ形式で受けたりすることが必要になってきます。かつてがんであった人々のために、医学的アプローチと心理学的アプローチを組み合わせた様々な治療プログラムが用意されていますが、これらの有効性を比較するためのさらなる研究が必要となっています。