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治療の根拠は何ですか? 胃がんの治療を変えた臨床試験

2020/04/24

第9回

ステージIII胃がんの術後補助化学療法でS-1+ドセタキセルの有用性が示されたSTART-2試験

 前回解説したACTS-GC試験の結果、Stage II、III胃癌では術後にS-1を1年間投与することが推奨されましたが、Stage IIIだけの成績を見ると、その効果はStage IIと比べるとやや弱く、また肝転移などの血行性転移の再発予防が十分でないことが指摘されました。韓国で行われていたCLASSIC試験では、ACTS-GCと同じくStage II、III胃がんで、術後のカペシタビンとオキサリプラチンの併用療法が手術単独と比較され、カペシタビン+オキサリプラチン療法の優位性が報告されました。特にStage IIIにおいてもStage IIと同じ様に生命延長効果が明らかでした。この結果から日本でも認容性試験が行われ、Stage III胃がんにカペシタビン+オキサリプラチン療法が用いられる様になっていました。

 日本では、Stage III胃がんの術後補助化学療法の候補として、SPIRITS試験で進行再発胃がんの一次治療として用いられていたS-1+シスプラチン療法が考えられました。しかしながら、予備的な研究で術後にS-1+シスプラチン療法を補助化学療法として行うと、有害事象が多く、十分に薬剤が投与出来ないことが分かりました。

 そこで、JACCROではSTART試験(第3回で解説しました)の結果を元に、Stage III胃がんの術後補助化学療法の候補としてS-1+ドセタキセル療法の認容性を確認し、大規模な臨床試験でS-1単剤療法と比較しました(JACCRO GC-07試験:START-2 Trial)。当初1100例を集積する予定でしたが、915例における計画された中間解析の結果、無再発生存でS-1+ドセタキセル療法の統計学的に有意な有用性が確認され、試験は有効中止となりました。その結果、胃癌治療ガイドラインではStage III胃がんの標準治療としてS-1+ドセタキセル療法がカペシタビン+オキサリプラチン療法と共に推奨される様になりました。

(Journal of Clinical Oncology 2019より引用)

藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構」(通称JACCRO)に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。
これまで、がんナビでは「がん臨床研究のABC-Z」という連載を行って来ました。臨床研究とはどのようなものか、この連載を通じて臨床研究への参加が増えることを期待して執筆して参りました。続きとなるこの連載では、実際の臨床研究にはどのようなものがあるか、行われた臨床研究はどのように計画され、成果はどのように実際の臨床に役立っているのかを、胃がんの治療についてお話ししたいと思います。

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