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がん臨床研究のABC-Z

2019/7/19

第27回

95%信頼区間とは何ですか?

 臨床研究で得られたデータの信頼性を示します。主治医の先生から「標準治療では30%の効果だったが、新治療を行ったら50%の患者さんに効果があったので、新治療をしましょう」と言われました。この主治医の先生が示した「新治療を行ったら50%の患者さんに効果があった」というデータの信頼性を表すのが95%信頼区間 (95% Confidence Interval:95%CI) になります。

 第20回「臨床研究の成果に用いられている統計学的有意差とは何でしょうか?」で、統計学的な有意差P<0.05=5%未満は、「新治療が標準治療より優れているという結果が間違っている可能性は5%未満ですよ」、逆に言うと「得られた結果は95%以上正しいですよ」ということを表すと説明しました。これに良く似ていますね。95%信頼区間は、「区間推定」と統計学的には呼ばれ、得られた成績の最も低い可能性と最も高い可能性がこの95%の区間に入っていることを現します。

 主治医の先生の示した新治療の50%の効果の信頼性はどうでしょうか? 2人治療して1人に効果を認めた場合でも50%の効果になりますし、100人治療して50人に効果を認めた場合でも50%の効果になります。どちらの50%の効果の方がより信頼性があるかと言えば、100人治療して50人に効果を認めた場合ですよね。ちなみに2人治療して1人に効果を認めた場合の50%の95%信頼区間は-19%〜119%、100人治療して50人に効果を認めた場合の50%の95%信頼区間は40%〜60%になります。2人治療して1人に効果を認めた場合の50%の信頼性は最も低い可能性が-19%、最も高い可能性が119%ですので、信頼性は全くありませんね。それに比べて100人治療して50人に効果を認めた場合の50%の信頼性は、最も低い可能性が40%、最も高い可能性が60%ですので、標準治療の30%より確実に良いことが分かります。

 95%信頼区間は効果を現す「率」だけでなく「平均値、中央値などの数値」や「生存率の比較、生存期間」でも用いられます。母数(サンプルサイズ)が大きいと信頼区間の幅は狭くなります。

 この連載は今回が最終回です。


藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

連載で「臨床研究」に関する情報をお届けしたいと思います。
簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構:通称JACCRO」に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。私が医師になった昭和50年代は外科医が主にがんの化学療法を行っていました。胃がんばかりでなく、乳がん、大腸がんの化学療法も外科医の守備範囲でした。後になって「外科医の片手間の化学療法」と揶揄されるようになったのですが、当時は目の前にいる切除不能胃がん、再発胃がんを診ていただける腫瘍内科がまだ無い時代でしたので、われわれ外科医が化学療法をせざるを得ませんでした。現在でも多くの外科医が癌の化学療法の一端を担っています。

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