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がん臨床研究のABC-Z

2019/6/21

第25回

私が参加した臨床研究の結果はどのように公表されますか?

 臨床研究の結果は学会発表ならびに論文として公表されます。

 臨床研究では症例集積が終了すると、成績をまとめ、仮説が正しかったのかどうかを統計学的に検証します。結果の公表までには(評価項目にもよりますが)症例集積終了から半年以上かかることが一般的です。あらかじめ評価する時期を決めておきますが、3年生存を評価項目にした場合には症例集積終了後から3年以上の時間が必要になりますし、5年生存を評価項目にした場合には当然ながら5年以上の時間が必要になります。

 臨床研究の成果は将来の同じ病態の方の利益になりますが、参加された皆さんの直接の利益になることは稀です。従って、残念ながら現状では参加された方に直接臨床研究の結果を説明することは行っていません。ご希望の場合は参加された臨床研究の責任医師の先生に伺ってみると良いと思います。

 ごく稀ですが、症例集積の途中に行われた中間解析により参加された患者さんの利益・不利益が明らかになる場合があります。その時は速やかに研究が中止され、患者さんの不利益を可能な限り排除する方策が取られます。このような場合には主治医の先生から、研究の結果が直接参加された患者さんに知らされます。

 仮説が正しいと判断された場合は当然ですが、例え仮説通りの結果が得られない、否定的な結果であっても学会や論文で公表しなくてはなりません。再び同じような臨床研究が行われないようにするためです(ポジティブな結果のみ公表し、ネガティブな結果を公表しないことをpublication biasと呼び、倫理違反とみなされます)。

 次回は「非劣性試験とは何ですか?」です。



藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

連載で「臨床研究」に関する情報をお届けしたいと思います。
簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構:通称JACCRO」に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。私が医師になった昭和50年代は外科医が主にがんの化学療法を行っていました。胃がんばかりでなく、乳がん、大腸がんの化学療法も外科医の守備範囲でした。後になって「外科医の片手間の化学療法」と揶揄されるようになったのですが、当時は目の前にいる切除不能胃がん、再発胃がんを診ていただける腫瘍内科がまだ無い時代でしたので、われわれ外科医が化学療法をせざるを得ませんでした。現在でも多くの外科医が癌の化学療法の一端を担っています。

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