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がん臨床研究のABC-Z

2019/05/10

第24回

エビデンスレベルとは何でしょうか?

 ガイドラインには治療の推奨度も書かれています。例をあげると、1) 行うことを強く推奨する、2) 行うことを推奨する、3) 行うことを考慮しても良いが十分な科学的根拠がない、4) 科学的根拠が無いので勧められない、5) 行わないように勧められる、などがあります。この推奨する度合いを決定するのに用いられるのが、エビデンスレベル(科学的根拠の信頼性の度合)になります。

 臨床研究では比較が行われます。従来の標準治療と新治療の比較を行う場合、参加した患者さんの背景因子が両治療で大きな差が無いことが最も大事な要素になります。そこで最もエビデンスレベルが高い臨床研究は、以前解説したランダム割付によって行われた無作為比較試験になります。少なくとも1つの質の高い無作為比較試験が報告されていればガイドライン治療に推奨される要件になりますが(Level 1b)、同じようないくつかの無作為比較試験をまとめて解析したメタアナリシスであれば、さらにエビデンスの度合は高くなります(Level 1a)。

 ランダム割付が行われないで標準治療と新治療を比較したり(Level 2a)、過去の標準治療の成績と比較したり(Level 2b)、過去の標準治療の成績と過去に行われた新治療の比較(Level 3)では背景因子にバラツキが多くなり、ガイドライン治療に推奨される可能性は低くなります。治療前後の比較、対照群を置かない研究(Level 4)、症例報告(Level 5)などは科学的根拠が無いと考えられます。最も信頼性が低いのは「単なる専門家の意見」になります(Level 6)。

 次回は「私が参加した臨床研究の結果はどのように公表されますか?」です。


藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

連載で「臨床研究」に関する情報をお届けしたいと思います。
簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構:通称JACCRO」に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。私が医師になった昭和50年代は外科医が主にがんの化学療法を行っていました。胃がんばかりでなく、乳がん、大腸がんの化学療法も外科医の守備範囲でした。後になって「外科医の片手間の化学療法」と揶揄されるようになったのですが、当時は目の前にいる切除不能胃がん、再発胃がんを診ていただける腫瘍内科がまだ無い時代でしたので、われわれ外科医が化学療法をせざるを得ませんでした。現在でも多くの外科医が癌の化学療法の一端を担っています。

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