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がん臨床研究のABC-Z

2019/3/1

第20回

臨床研究の成果に用いられている統計学的有意差とは何でしょうか?

 新治療が標準治療より優れているかどうかを判定する場合、統計学の手法を用いて証明します(検定と言います)。統計学的に明らかな差(有意の差)があれば新治療が本当に優れていると認められます。検定の結果、P値0.05未満(P<0.05)になれば、統計学的には明らかな差があるとみなされます。その結果、「新治療が標準治療より誰が見ても納得する差で優れている、十中八九間違い無い差で優れている」と判定されます。

 それではP値(p values)とは何でしょうか? Pはprobability「確率」の頭文字です。P(確率)=0.25とは、別の言い方をすれば25%と言うことになります。P=0.05は5%になります。統計学的な有意差P<0.05=5%未満は、「新治療が標準治療より優れているという結果が間違っている可能性は5%未満ですよ」、逆に言うと「得られた結果は95%以上正しいですよ」ということを表しています。

 99%や100%正しくなくて良いのかと疑問を持たれる方もいると思いますが、統計学では習慣的に95%で有意の差としています。これは、「新治療と標準治療を比較した同じ試験を20回行っても違う結果が出るのは1回未満しかない稀なことだから」と理解して下さい。

 研究の計画段階では新治療の効果が標準治療よりどの程度優っているかを推定し、有意の差が得られるであろう必要な症例数を設定します。どんなに優れた新治療であっても計画段階で必要な症例数の設定を誤ると統計学的な有意差は得られず失敗します。また、明らかな差(有意差)が得られなかった場合は、「この研究では新治療と標準治療に明らかな差が証明できなかった」とだけ結論します。差がなかったから新治療も、標準治療も同じとは言いません。(また、統計学的に有意の差があったとしても、臨床的に意味があるのかが問われますが、これについては別に解説します。)

 次回は「無作為比較試験とは何でしょうか?」です。


藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

連載で「臨床研究」に関する情報をお届けしたいと思います。
簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構:通称JACCRO」に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。私が医師になった昭和50年代は外科医が主にがんの化学療法を行っていました。胃がんばかりでなく、乳がん、大腸がんの化学療法も外科医の守備範囲でした。後になって「外科医の片手間の化学療法」と揶揄されるようになったのですが、当時は目の前にいる切除不能胃がん、再発胃がんを診ていただける腫瘍内科がまだ無い時代でしたので、われわれ外科医が化学療法をせざるを得ませんでした。現在でも多くの外科医が癌の化学療法の一端を担っています。

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