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がん臨床研究のABC-Z

2018/11/9

第14回

利益相反とは何でしょうか?

 臨床研究でX社の新しい薬剤とY社の標準的な薬剤を比較することを計画しました。研究を計画した研究代表医師、研究に参加する研究分担医師は、研究の透明性を確保するために「利益相反申告書」を倫理委員会へ提出しなくてはなりません。

 また、研究計画書にも利益相反の有無を記載します。申告書の内容は、研究者本人あるいは家族がX社から寄付金を受け取っているか、X社の株式を持っているか、X社から原稿料、講演料、コンサルタント料を受け取っているか、X社から旅行代金、贈答品などの供与はあるか――などになります。がんの新薬開発に関わったエキスパートが引き続き、標準治療確立のための臨床研究を行うことが多く、利益相反があったとしても、X社との関係を公開することで研究の透明性を担保しようとするものです。

 ただし、X 社から給与を得ていたり、一定以上の株式を保有していたり、X社関連の特許権を持っているような、著しい利益相反がある場合には研究代表者にはなれません。実際にX社から臨床研究の資金提供を受けている場合には、更に厳格に申告が求められます。

 臨床研究では、結果が出るまではどちらが良いか分りませんので、X社に不利な結果が出た場合に公表しないなどの不正行為を防ぐことも出来ます。現在、臨床研究のみならず社会全体で「利益相反」の有無が問われています。

 次回は「臨床研究に参加した場合、個人のプライバシーは守られますか?」です。


藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

連載で「臨床研究」に関する情報をお届けしたいと思います。
簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構:通称JACCRO」に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。私が医師になった昭和50年代は外科医が主にがんの化学療法を行っていました。胃がんばかりでなく、乳がん、大腸がんの化学療法も外科医の守備範囲でした。後になって「外科医の片手間の化学療法」と揶揄されるようになったのですが、当時は目の前にいる切除不能胃がん、再発胃がんを診ていただける腫瘍内科がまだ無い時代でしたので、われわれ外科医が化学療法をせざるを得ませんでした。現在でも多くの外科医が癌の化学療法の一端を担っています。

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