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がん臨床研究のABC−Z

2018/9/14

第10回

倫理委員会とは何でしょうか?

 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」では、臨床研究には「独立かつ公正な立場に立った倫理審査委員会による審査」による承認が必要と定められています。倫理委員会とは、臨床研究を実施する施設の長(病院長など)が設置する独立した委員会で、患者さんが参加する臨床研究が倫理指針に基づいて適格に計画され実行されているかを判断し、臨床研究の実施の可否、継続の可否について施設の長へ意見を述べることを目的としています。臨床研究に参加する施設は倫理委員会を必ず設置しなくてはなりません。

 倫理委員会では、臨床研究への参加に先立ち、1)提出された臨床研究計画で目的とした成果が得られるか(科学的合理性)、2)研究対象者(患者さん)へ参加することでの負担を明確に述べているか、3)患者さんの受ける治療などのリスクと効果などの利益のバランスの評価が行われているか、4)患者さんへの臨床研究の説明同意文書が適格に作成されているか、5)患者さんの自由意志による同意を得る方法、ならびに、同意が得られなかった場合の患者さんの保護について書かれているか、6)個人情報等の保護の方法が書かれているか、7)提出された臨床研究の質(モニタリングや監査の方法)及び透明性の確保(利益相反など)が行われているか――等を審査します。倫理委員会では研究が開始された後も、臨床研究が適切に遂行されているか、有害事象などの発生状況はどうかなどを確認し、場合によっては臨床研究の中断を施設の長に意見する事ができます。

 倫理委員会は審査を適切に実施できるように、委員会を構成する委員の要件についても定められています。1)医学の専門家、自然科学の有識者が含まれていること、2)倫理学・法律学の専門家、人文・社会科学の専門家が含まれていること、3)患者さんの立場を含めて、一般の立場から意見を述べることができる者が含まれていること、4)施設外の委員が複数以上含まれていること、5)男女両性であること、6)委員会は5名以上で構成すること――等です。

 この中で、3)の患者さんの立場から意見を述べられる方を委員に迎え入れることが最も大事です。この連載を読まれ、がん治療を経験された方やそのご家族の方で臨床研究に興味をお持ちの方がいらっしゃれば、是非ご連絡下さい(ただし、多くの施設ではボランティアとしての参加になり、交通費程度の謝礼でお願いしています。また、倫理委員会の委員には年一度程度の臨床研究に関する研修会への参加などが義務付けられています)。倫理委員会の開催要件には5)の男女両性が参加することになっていますので、少数の委員での構成では、女性の委員の出席が無いと委員会が成立しないこともあります。

 倫理委員会の審査は全員一致が原則で、結果は「承認」か「不承認」あるいは条件付き承認などがあります。不承認となる主な要因は「科学的合理性が認められない」が最も多く、成果を検証するための患者さんの症例数設定の不備や疑問が指摘されます。条件付き承認で、説明文書の不備が最も多く、分り易い説明文書への書き換えなどを指摘されることが多いようです。

 病院のホームページには倫理委員会の委員構成、倫理委員会の審査結果などが公開されていますので、一度ご覧になって下さい。

 次回は「臨床研究の科学的合理性とは何でしょうか?」です。


藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

 連載で「臨床研究」に関する情報をお届けしたいと思います。
 簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構:通称JACCRO」に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。私が医師になった昭和50年代は外科医が主にがんの化学療法を行っていました。胃がんばかりでなく、乳がん、大腸がんの化学療法も外科医の守備範囲でした。後になって「外科医の片手間の化学療法」と揶揄されるようになったのですが、当時は目の前にいる切除不能胃がん、再発胃がんを診ていただける腫瘍内科がまだ無い時代でしたので、われわれ外科医が化学療法をせざるを得ませんでした。現在でも多くの外科医が癌の化学療法の一端を担っています。

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