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がん臨床研究のABC-Z

2018/8/31

第9回

臨床研究の倫理指針とは何でしょうか?

 臨床研究を行う場合に、研究に参加していただく患者さんの尊厳や人権が研究の成果より優先されるべきとの大前提の下に、臨床研究が適正に、かつ円滑に進められるように定められた指針で、臨床研究に関わる全ての関係者(医師、看護師、メディカルスタッフ、倫理委員会委員、臨床研究の事務局員など)が遵守すべき事項についての方向性が示されています。

 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」として文部科学省、厚生労働省から告示され、平成28年4月より適用されています。臨床研究を進めるにあたり以下の事項が基本指針として掲げられました。
(1)社会的及び学術的な意義を有する研究の実施
(2)研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保
(3)研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益の総合的評価
(4)独立かつ公正な立場に立った倫理審査委員会による審査
(5)事前の十分な説明及び研究対象者(患者さん)の自由意志による同意
(6)社会的に弱い立場にある者への特別な配慮
(7)個人情報等の保護
(8)研究の質及び透明性の確保

 この中のいくつかの事項については既にこの連載で説明しましたが、今後の連載では科学的合理性、倫理委員会の審査、個人情報の保護、研究の質及び透明性の確保などについて、さらに詳しく解説して行きたいと思います。

 従来から多くの臨床研究に携わってきた者としては、示された倫理方針はごく当然のことであり、公的機関から細かく示された指針を遵守しなさいと言われることには反発も覚えましたが、残念なことに製薬会社の社員が論文作成に参加し、データを作成に関与したとされる降圧薬ディオバンの臨床研究の事例などが起こり、患者さんをはじめとする多くの国民の信頼を失いました。また、倫理指針に反した行為があったとしても罰則が無かったため、罰則を伴った「臨床研究法」が2018年4月から施行されています。臨床研究法については今後の連載の中で解説します。

 次回は「倫理委員会とは何でしょうか?」です。


藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

 連載で「臨床研究」に関する情報をお届けしたいと思います。
 簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構:通称JACCRO」に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。私が医師になった昭和50年代は外科医が主にがんの化学療法を行っていました。胃がんばかりでなく、乳がん、大腸がんの化学療法も外科医の守備範囲でした。後になって「外科医の片手間の化学療法」と揶揄されるようになったのですが、当時は目の前にいる切除不能胃がん、再発胃がんを診ていただける腫瘍内科がまだ無い時代でしたので、われわれ外科医が化学療法をせざるを得ませんでした。現在でも多くの外科医が癌の化学療法の一端を担っています。

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