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がん臨床研究のABC-Z

2018/7/27

第6回

臨床研究の研究説明文書とはどのようなものでしょうか?

 臨床研究についての口頭でのお願いを補足し、患者さんの理解を深めるために作成された説明文書のことを言います。

 以前、説明文書には過不足があってはいけないとの考えから、生命保険の契約書のように細かなことまで書かれていました。しかしながら、余りに細かいと却って読まれないこともあります。また、「がん」と言う生命に関わる病態では精神的にも安定せず、集中して読んで貰えるかが疑問でした。

 そこで私達は、臨床研究の説明文書を前半部分と後半部分に分け、前半部分では研究について知って戴きたい重要な内容の説明を行い、前半部分を読んでいただくだけでも理解が得られるようにしました。後半部分には附随説明として、更に詳しい説明や情報を加えるようにしています。私達が作成した「臨床研究の説明」「同意文書」の雛形は以下のような項目になっています。

前半部分
・臨床研究とは?
・あなたの病期(病状)について
・今回の臨床研究について(研究の目的と意義)
・研究方法について(研究に参加をお願いする方の基準、研究スケジュール・期間)
・予想される効果と副作用について
・他の治療法について
・研究実施後の医療の提供について
・研究参加に伴う費用負担について
・研究への参加の自由と同意撤回の自由について
・健康被害が生じた場合の補償について
・あなたのプライバシー保護について
・この研究中にあなたに守ってもらいたいこと
・相談への対応窓口

後半部分(附随説明)
・この臨床研究について
・記録の閲覧について
・試料・情報の保管・廃棄の方法について
・試料・情報の利用目的について
・この研究からあなたの遺伝的な特徴が分った場合(あなたの健康に関する重要な結果が分った場合)
・研究資金などについて(利益相反)
・この研究の適正性・信頼性を高めるために(モニタリング・監査)
・研究の公表・登録・公開について
・治療薬についての詳しい説明
・副作用についての詳しい説明
・健康被害に対する補償についての詳しい説明
・治療スケジュールについての詳しい説明

 それぞれの項目の詳しい説明については、別の記事で解説して行きます。

 次回は「臨床研究に参加を勧められましたが、断るとどうなるでしょうか?」です。


藤井 雅志(ふじい まさし)氏
特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)臨床試験委員長
前日本大学医学部医学部消化器外科学 教授、1975年日本大学医学部卒

 連載で「臨床研究」に関する情報をお届けしたいと思います。
 簡単な自己紹介を致します。消化器外科医ですが、主にがんの化学療法を担当しています。現在「NPO法人日本がん臨床試験推進機構:通称JACCRO」に所属して、主に消化器がんの臨床研究を行っています。私が医師になった昭和50年代は外科医が主にがんの化学療法を行っていました。胃がんばかりでなく、乳がん、大腸がんの化学療法も外科医の守備範囲でした。後になって「外科医の片手間の化学療法」と揶揄されるようになったのですが、当時は目の前にいる切除不能胃がん、再発胃がんを診ていただける腫瘍内科がまだ無い時代でしたので、われわれ外科医が化学療法をせざるを得ませんでした。現在でも多くの外科医が癌の化学療法の一端を担っています。

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