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がん診療の現場から

2020/06/05

がん治療にはつらさはある程度伴うが負けないぞという気持ちを

 「がんと闘うな」ということを言う医師がいます。独特の理論で理屈をこねているという感じは否めませんが、一面の真実がないわけではないと思います。例えば「がんもどき」という話があり、顕微鏡で見ればがんと分類されるけれども、何も治療しなくてもほとんど進行しない、そういうがんもあると思います。抗悪性腫瘍薬にはすべて副作用の可能性があり、そういう意味では毒なのですが、治癒は難しいとしても、こういう薬物によって延命できたり生活の質が改善されている患者さんが多くおられることは間違いありません。抗がん薬の一面だけを取り上げて批判的に取り扱うと、いきおいセンセーショナルになります。話題性ということでのみ大きく取り上げて世の中に間違った印象や知識を広げている一部マスコミには憤りを感じます。

 いかなる治療でも、治療につらさはある程度伴います。副作用ゼロという人は少なく、薬物治療にしろ、手術にしろ、放射線治療にしろ、なにがしらの代償があります。従って、私は、患者さんの「闘う」とか、「負けないぞ」という気持ちは必要だと思います。また、副作用があるからこそ、患者さんが自分で納得してその治療をうけるということがとても大事と思います。そういう意味で以前も触れたshared decision makingという概念は重要だと思います。そのためには主治医と患者の良き人間関係を形成することが必要なのは言うまでもありません。

 多くの患者さんはつらい治療を受けたくはないでしょう。ですから「闘うな」と言われ、治療のネガティブな側面をすごく強調されると、そちらに心が傾いてしまうことがあるかもしれません。さらに私が許せないと感じるのは、医学的根拠のない民間療法のようなことを言う医師がいることです。「そんな治療、やめたらいいですよ。この梅干しエキスで私のところでよくなった人がいますよ。もう何人もみています」とか医師に言われたら、しかもその医師が大学名誉教授とか医学博士だとかの肩書をもっていたら「そうかな」と思う患者さんは必ずいます。それはとても罪作りだと思います。癌の治療コンセプトはがんが住みにくい体質づくり、免疫骨髄機能を高める、ということだそうですが、私にはとても理解できません。


光冨 徹哉(みつどみ てつや)氏
近畿大呼吸器外科主任教授

1980年九州大学医学部卒、米国国立がん研究所(NCI)、九大助教授、愛知県がんセンター中央病院胸部外科部長、同副院長などを経て、2012年より現職。2014-2018年日本肺癌学会理事長、2019年第60回日本肺癌学会学術集会会長。2019年9月から世界肺癌学会理事長。日本学術会議第二部会員。
「ここ20年ほどの間に、手術の対象とならない進行した肺がんにも有効な治療が多くでてきました。例え肺がんになられても希望はあります。最小の負担で最大の治療を得る手段を皆で考えて行きましょう」

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