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がん診療の現場から

2020/05/08

がん患者に診断や治療の理解が必要な理由

 がん治療に携わる医師からのお願いとして、患者さんには、できるだけ情報を集めて診断や治療の内容を理解していただきたいと考えています。ためらわず、積極的にです。

 なぜならば、がんの治療には良い部分と良くない部分があるからです。特に進行がんで抗がん薬治療を行うような場合は、延命効果も期待できますが、同時に副作用が多くの場合に起きてきます。つまり、得られるものと失うかもしれないもののバランスが大事になってくるのです。ですからがんにおいては、診断、治療について理解をして、納得した上で治療を進めていくことがとても大切なのです。

できるだけ後悔しないような決め方を

 人に決めてもらうと楽かもしれませんが、「先生にお任せします」と言って何かうまくいかなかったときに、「ああ」と後悔するかもしれません。できるだけ後悔しないような決め方をしたほうがいいと、私はよく患者さんに言います。

 後悔しないためには、ご自身の置かれている様々な状況を踏まえて、治療法を医師と一緒に考えて選んでいくことが重要なのです。このことを最近は、はやり言葉のようにShared decision makingと呼んでいます。

 インフォームドコンセントという言葉がありますが、これは理解した、同意したという意味です。ということは、患者さんではなく医師が主体で、医師の提案に対し分かった上で同意するという意味になりますから、あまり患者さんの考えは含まれていません。インフォームドチョイスというものもあり、手術するかしないかとか、Aという薬かBという薬かのように医師が出してきた選択肢から選ぶという感じですが、まだ受け身です。これらを超えて、自分の病気だから自分で考え、医師と相談し、Shared decision makingを行うことが患者さん自身の納得のために大切だと考えています。

 ただし、言葉で言うのは簡単ですが、実際には難しいのが現実だと思います。例えば検診で影があると言われて病院に行き、「肺がんです」と言われればすごくショックでしょう。その状態ですぐに情報を集めて行動できる人は、あまりいないと思います。立ち直るのには時間がかかると思いますが、なんとか情報を集めて理解するというところまでなっていただければと思っています。そのためには、家族と一緒に説明を聞く、医師との話を録音するなどということも、積極的に行ったら良いでしょう。録音したら何か怒られそうだと思う患者さんがいるかもしれませんが、隠し取りはいけませんが「ちょっと忘れるかもしれないから、録音してもいいですか」と言われたら、「いやだ」という医師はいないと思います。

いろいろ増えてきた情報の集め方

 情報を求めていいのかとためらい、求めない患者さんが実際には多いのです。情報を得られるところまで病院がサポートできればよいのですが、中々できてはいません。治療の内容について、主治医はもちろん説明しますが、時間が限られているため完全に理解するところまでは難しいです。

 でも昔よりは情報は得やすくなっていますし、ためらわずに情報を探していただきたいと考えています。看護師に相談することや病院によっては相談支援室を活用することもできます。がんサロンやがんとともに歩む会といった会合を開いていることもあります。少し敷居が高いと感じるかもしれませんが、近くにあれば患者会に参加するということも良い選択肢の1つでしょう。患者への情報提供を行っている学会もあります。

 また、インターネット上の情報は玉石混交ですが、例えば国立がん研究センターのがん情報サービスやがん診療拠点病院のホームページを調べるということは役に立つことが多いです。性格的にシャイな人や会合に出るのは嫌だと感じる患者さんなどにも向いている情報集めの手段でしょう。


光冨 徹哉(みつどみ てつや)氏
近畿大呼吸器外科主任教授

1980年九州大学医学部卒、米国国立がん研究所(NCI)、九大助教授、愛知県がんセンター中央病院胸部外科部長、同副院長などを経て、2012年より現職。第60回日本肺癌学会学術集会会長。2019年9月から世界肺癌学会理事長。
「ここ20年ほどの間に、手術の対象とならない進行した肺がんにも有効な治療が多くでてきました。例え肺がんになられても希望はあります。最小の負担で最大の治療を得る手段を皆で考えて行きましょう」

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