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がん診療の現場から

2019/7/12

抗がん薬の投与で治る人がいるのは事実だが

 抗がん薬は、手術の前に腫瘍を小さくして切除できるようにするために、手術の後に再発のリスクを減らすために、そして進行がんで手術ができない場合にがんを進行させないために投与されます。抗がん薬の進歩は著しく、がんの種類によっては、進行がんであっても抗がん薬の投与で治癒する患者さんも出てくるようになってきました。

 進行大腸がんでは、抗がん薬を投与した結果手術ができるようになって、切除で治癒した患者さんがいます。またステージ4の進行胃がん患者さんに免疫チェックポイント阻害薬を投与したところ4年間生存している、しかもこの2年間は何も治療していないという患者さんもいます。HER2陽性進行胃がんにトラスツズマブを投与したところ、従来では考えられなかったくらい長い期間再発していない患者さんもいます。転移したステージ4の進行がんだからといって、決して治らないという時代ではなくなったと言って良いでしょう。

 ただし、ここで大切なことは、ステージ4の進行がんで抗がん薬により治癒できる人は限られているということです。例えばニボルマブは、進行胃がん患者の10人に1人で有効で効果が長続きしますが、逆に考えれば10人中9人には効果がないわけです。

 もちろん、治癒できるかもしれないという希望を持つことは大切です。しかし、進行がんの場合は、最悪を覚悟して最良を期待するという心持ちがよい結果につながると考えるのが良いのではないでしょうか。

 抗がん薬をはじめとするがんの治療は、日々進歩しています。5年先には、がんの治療が大きく変わっていると思います。ですから、できるだけ長く治療できる、生活できることを目標にして、治療を受け入れていくことが重要だと考えています。


佐藤 太郎(さとう たろう)氏
大阪大学先進癌薬物療法開発学教授

1993年弘前大学医学部卒。弘前大学第一内科で坂田優氏の薫陶を受ける。
Case Western Reserve Univ. School of Medicine、Univ. of Colorado Health science Ctr. School of Medicineを経て、2003年近畿大学腫瘍内科助手、2005年講師。2011年大阪大学先進癌薬物療法開発学准教授、2013年より現職。
「2000年から2010年ころまで、日本における新規抗がん剤の導入は、世界より数年遅れているのが一般的でした。そこには政治的な問題もありますが、新薬を適切に患者に使用し、評価する、薬物療法医が十分いない事も大きな要因となっていました。私たちは、2011年から大阪大学消化器外科教室と共同し、腫瘍内科として、新薬の導入に努めています」

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