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がん診療の現場から

2019/05/24

治療を受ける病院を考える上で大切な2つのこと

 何らかの症状があって患者さんが近くのクリニックに行き、実は進んだがんがあったということは、しばしばあります。その場合、次の医療機関、つまり開業医に紹介してもらう病院をどこにするかは、大切ですが難しい問題です。私は2つの点に留意するのが良いのではないかと思います。

 1つは言うまでもないことかもしれませんが、ある程度がんに強そうな病院を選ぶ、がん治療に評判のよい病院を選ぶことです。そのような病院であれば、抗がん薬治療が必要な患者さんには適切に抗がん薬を投与してくれると思われますし、手術が可能か、ぎりぎりの状態であれば抗がん薬の投与や放射線治療を行ってがんを小さくして手術ができるようになる場合も出てくると思います。がん拠点病院というのがあり、選択の候補となりますが、全てのがん拠点病院で十分な治療が行われているというわけでもありません。ネットや口コミで地域の病院の情報を知っておくことも、病院選択には有用かもしれません。また、抗がん薬の臨床試験や治験に参加している施設であることを考えても良いでしょう。新しい治療に対しての認識が高い、積極的な病院と考えられるからです。

 そしてもう1つの大切な点は、通いやすさです。より良い治療を受けようと、地方から家族を頼って大都市圏に来られる患者さんがいます。手術中心で治療が終わり、ほどなく地元に帰る場合には良いと思いますが、長期に滞在して抗がん薬治療を受け続けるという場合には、必ずしも良い選択とは言えません。抗がん薬と付き合っていく場合、副作用など何かあったときにすぐ診てもらえるところで治療を受けられることが大切になるからです。

 私の患者さんで、息子が大阪にいたため、夫婦で地方から移ってきた方がいらっしゃいました。奥さんがステージ4のがんで治療していましたが、副作用がひどかったため入院していました。その入院中に御主人が、大阪の新しい家で倒れて亡くなったということを経験しました。何が原因だったかは正確には分かりませんが、転居のストレスも全くないわけではなかったのではないかと思います。子供や家族と一緒に暮らせるという点は、とても良いことかもしれません。しかし、引っ越すということは地元の友達や昔からの知り合いがいるという環境を変えてしまうことでもあります。それが本当に良いのかを考えなければいけません。

 家族全体で、厳しいケースも考えた上で、紹介された病院には家族と一緒に行ったほうが良いでしょう。また不安があれば、院内にある相談センターや看護師、薬剤師と相談した方が良いと思います。


佐藤 太郎(さとう たろう)氏
大阪大学先進癌薬物療法開発学教授

1993年弘前大学医学部卒。弘前大学第一内科で坂田優氏の薫陶を受ける。
Case Western Reserve Univ. School of Medicine、Univ. of Colorado Health science Ctr. School of Medicineを経て、2003年近畿大学腫瘍内科助手、2005年講師。2011年大阪大学先進癌薬物療法開発学准教授、2013年より現職。
「2000年から2010年ころまで、日本における新規抗がん剤の導入は、世界より数年遅れているのが一般的でした。そこには政治的な問題もありますが、新薬を適切に患者に使用し、評価する、薬物療法医が十分いない事も大きな要因となっていました。私たちは、2011年から大阪大学消化器外科教室と共同し、腫瘍内科として、新薬の導入に努めています」

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