このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

新着一覧へ

がん診療の現場から

2018/9/4

がんの予防について考えてみましょう(その1)

日本医科大学付属病院 教授、がん診療センター長 久保田 馨

 これまで、がんの本質は分裂増殖する細胞であり、この原因は遺伝子異常によるものであること、免疫サイクルの異常やがん細胞が免疫を回避するしくみを用いて増殖を続けることをみてきました。これらを基にがんの予防について考えてみましょう。

 がんの予防は、まず遺伝子異常を引き起こす物質から離れることです。様々な物質が遺伝子異常を引き起こしますが、代表的なものが「発がん物質」といわれるものです。天然のものは害がなく、合成物が有害だと考えている方が多いのですが、天然のものでも発がん作用を持っているものがあります。その代表がタバコという植物です。植物内に多量のニコチンを含む毒草です。タバコ製品は如何に形態を変えてもタバコを含む限り有害であり、発がんの第一の原因であることには変わりがありません。1950年代にフィルター付きのタバコが発売され、タバコの害が無くなると宣伝されましたが、真っ赤な嘘でした。タバコ会社は現在も加熱式タバコの宣伝を熱心にやっていますが、騙されないことです。タバコという植物は、天然痘と同じように地球上から撲滅すべき生物であることを理解しましょう。

 タバコの煙には喫煙者が吸入する「主流煙」、その後吐き出す「呼出煙」、タバコの先端から出る「副流煙」があります。主流煙のほとんどは呼出煙となって喫煙者の周囲の空気を汚染します。また、主流煙はしばらく体内に残り、喫煙後45分間は有害物質を吐き続けることになります。問題はタバコ煙に含まれる200種類以上の有害物質、70種類近くの発がん物質には「域値がない」ことです。1日1本以下の喫煙や受動喫煙でもかなりの発がんの危険性があります。また、タバコ煙に含まれる発がん物質は、肺から血液の中に入り、肺がんのみならず口腔、鼻腔、咽頭、喉頭、食道、胃、大腸、肝臓、膵臓、子宮頸部、卵巣、膀胱、腎臓、骨髄性白血病など、ほぼ全身のがんの発生を増加させます。

 タバコは空気汚染によるものですが、口から入る食事、飲み物もがんの発生に影響します。発がんのリスクを下げるものは、コーヒーと肝臓がん、野菜・果物と食道がんです。大腸がんは、赤身肉(牛、豚、羊)、加工肉がリスクを上げるとされています。アルコールは、口腔、咽頭、喉頭、食道、大腸、肝臓、乳房のリスクを上げます。特にアルコールで顔が赤くなる方は危険性が高くなります。食事や飲み物に関しては、リスクを下げるものはなるべく毎日摂取すること、上げる可能性があるものは、毎日は食べずにリスクを分散することが大切でしょう。(つづく)


久保田 馨(くぼた かおる)氏
日本医科大学付属病院 教授、がん診療センター長

1983年熊本大学医学部卒。 国立がんセンター東病院病棟医長、Vanderbilt University Medical Center, Division of Medical Oncology, visiting scholar、国立がんセンター中央病院病棟医長などを経て、2011年に日本医科大学付属病院化学療法科部長、2012年より現職。
日本癌医療翻訳アソシエイツの理事長も務める。
専門は臨床腫瘍学、胸部悪性腫瘍の診断と治療、がんの支持療法、コミュニケーション技術、臨床的意思決定。

この記事を友達に伝える印刷用ページ