2010/10/12
病気で休むと言ったら、派遣契約を打ち切られちゃった。どうすればいいの?
派遣労働は、派遣元事業主(派遣会社。以下、派遣元)と雇用契約を結んだ派遣社員が、派遣先事業主(以下、派遣先)の指揮命令に従って仕事をするという働き方で、正社員やパートタイマーなどのように雇用契約を結んだ会社の指揮命令で仕事をするのとは違う働き方です。
派遣社員、派遣元、派遣先の関係は、図1-1のようになっています。
派遣社員が雇用契約を結んでいる相手は、派遣元です。病気になってしまったことの報告は、まず派遣元にしましょう。休職や休暇については、派遣元の就業規則に従うことになります。治療しながらの勤務が可能かどうかについても、派遣元とよく話し合ったうえで、派遣会社の担当者から派遣先に伝えてもらうほうがいいでしょう。
今の仕事が好きなので、できるだけ続けたいんだけど。派遣社員が病気になったときに利用できる制度はあるの?
派遣社員も、労働基準法その他の法律で守られている労働者に変わりはありません。勤務年数や出勤の要件を満たすことで、年次有給休暇(以下、有休)を取得できます。派遣社員の場合は短期の雇用が前提となっているので、有休の付与要件を満たすことが難しいケースが多くみられます。しかし、派遣先が変わっても、派遣元との雇用関係が継続していれば、「継続勤務」になり、要件を満たすことができれば有休が取得できます。
この有休を派遣労働者に与えなければならないのは、派遣元なので、ここは注意してください。
また、健康保険についても、派遣元との契約内容が要件を満たしていれば、加入が義務づけられているので、保険給付を受けることができます。派遣労働者のための健康保険組合として、人材派遣健康保険組合(通称「はけんけんぽ」)があります。はけんけんぽの加入資格は、下のとおりです。
●雇用契約期間が2カ月を超える場合
・雇用契約の初日から加入
●雇用契約期間が2カ月以内の場合
・当初は適用除外
・契約更新により、2カ月を超えることになった場合には、更新された雇用契約の初日から加入
●勤務日数と勤務時間が派遣元の一般社員のおおむね4分の3以上である場合
病気で仕事を休む場合は、派遣元において有休を取得し、派遣先には代わりの派遣社員を派遣してもらえれば、派遣社員が病気になったことで派遣契約が解除されてしまうという問題を回避できるかもしれません。
業種や職種、派遣会社によっても違いがありますが、派遣社員であっても、派遣元と話し合い、派遣先の理解を得られれば、可能なかぎりで仕事を続けながら治療することもできるのではないでしょうか。
●派遣元事業主(派遣会社)……労働者派遣契約を結んだ別の事業主(派遣先事業主)に労働力を派遣するために労働者を雇用する事業主。
●労働基準法……労働条件の最低基準を定め、労働者を保護することを目的とした法律。
●年次有給休暇……労働基準法で定められた労働者の権利であり、その休暇日において賃金を支払いながらも労働義務を免除する制度。