「髪」よりも気になるのは「疲れた顔つき」
外見上の変化の中で最も顕著と言えるのは、髪を失うことだが、女性のがん患者の中で気にしている人が最も多いのは、髪よりも疲れやくすみなどの顔の変化であることが前出のキャンサーリボンズらの調査で分かった。
同調査では、髪が抜けることを気にする人は54.7%だったのに対し、疲れた顔つきになったことを気にする人は71.7%にも及んだ。顔色のくすみも54.7%と高かった。キャンサーリボンズの廣瀬瑞穂氏は、「髪の悩みに対しては、ウイッグという具体的な解決方法があり、約7割以上の人がそうした方法で悩みを解決しています。ところが疲れた顔つき、顔色のくすみといった顔の悩みは多いにもかかわらず、解決できず悩んでいる人が半数以上と多いのです」と話す。
こうした状況をふまえ、キャンサーリボンズではがん患者さんたちに綺麗になってもらうための様々なプロジェクトを実施している。がん患者さん向けのスキンケア法とメーク法について、医師や専門家の監修によるDVDを作成。これらは希望する医療機関に配布しているほか、ホームページ上でも動画を一部公開している(http://www.ribbonz.jp/)。
乾燥して敏感な肌は「保湿ケア」の徹底を
患者が最も気にする肌のくすみの原因と対策について福田氏は、「抗がん剤によって皮膚の基底層の働きが低下するため、肌のターンオーバーがうまくいかず、ごわごわしてくすんできます。皮脂腺や汗腺の働きも抑えられるため乾燥もしがちです。
顔だけでなくできれば全身に、いつも以上に保湿のケアを徹底させることが大切です。化粧品は普通に市販しているものでかまいませんが、こすらずにやさしくケアして刺激を与えないように注意してください。刺激の少ない敏感肌向けの化粧品などを使うのもよいでしょう」と話す。