今回は、不妊治療の末に子どもを授かったのに、定期検診で子宮がんが見つかりパニック状態になってしまったという方の事例を紹介します。患者さんご本人をはじめ、その身近な方々あるいは医療従事者にとって、どのような対応が求められるのか、皆さんも一緒に考えてみていただけないでしょうか。
(村松さんのホームページの「父ちゃんの心の花束」より)
《相談者からの手紙》
こんなことは身内に相談すれば済むのかもしれませんが、相談に乗ってください。
私は、不妊治療の末に子どもを授かり、その後は年齢的なことも考え、がんの定期検診を受けていました。先日の検査でがんが見つかり、結果もあまり良くなくて、とてもショックを受けています。今まで検診を受けていたのに、どうして見つけられなかったのかと思う半面、定期的に通っていたからこそ見つけてもらえたと思うようにもしています。直接口には出しませんでしたが、あわよくばもう1人子どもを授かったら兄弟ができて楽しいだろうなという家族の夢もありましたので、がんが見つかったことは今でも信じられません。
別の病院でもう一度診てもらうことも考えていますが、ずっとお世話になっている病院なので、急に変えるのもとちゅうちょしています。不妊治療などが身体に負担だったのかと、今まで自分がしてきたことを否定する気持ちになったり、まして不妊治療でできた子どもの存在を思うと混乱し、パニックに陥りそうになります。
「手術の日を決めてしまうと、後に引けなくなるくらいトントン拍子にことが進んでしまうよ」と友人が話していたので、私自身が混乱している状況では、今後についての話を進めたくないと思っています。そんなことを思いながらも、検査が順調に進んだとしても入院できるのは3カ月先と聞き焦りを感じています。手術が必要な状態なのに、ベッドの関係で入院が3カ月先とはどういうことなのでしょう。その間に、もしもがんが進行してしまったらと思うと怖くてたまりません。
子どもはまだ小さいですし、私がしっかりしなければと思うのです。でも、私は早くに母親を亡くしたので、妊娠から育児全般に関して、自分の母親に相談することもできずに、今までやってきました。夫は楽天的で、「今は色々な治療法があるんだから、そんなに自分から不安になるな」と言います。慰めるでもなく、不安な気持ちを受け止めてくれるでもなく、夫の対応が私の期待に沿うものでなくて悲しいです。
その場にいた看護師の方は丁寧に説明してくれましたが、私がパニック状態だったため説明内容が頭に残らず、どうやって家にたどり着いたのかも覚えておらず、手元に残ったのは、これからのことが書かれた事務的な資料だけです。これを基に今後のスケジュールを立てよ、ということだと理解はできますが、気持ちがついていかず、誰に相談して良いのか分からず、途方に暮れています。