「病気が進行すると気持ちが落ち込むものですが、リハビリを受けることで気を紛らわしたり、希望を持ったりすることができます。また、1対1で理学療法士が患者さんにかかわるので、患者さんは安心されるようです」と内山氏は話す。
ただし、リハビリをしたことで、かえって疲労を感じることのないよう、内山氏は、患者の身体状態を十分観察しながら訓練時間には配慮しているという。
このように、身体機能の回復や不快な症状の軽減に有効なリハビリだが、近年、平均入院期間が短くなったため、入院中に呼吸状態や身体機能が完全に回復するまでリハビリをすることができなくなってしまった。特に、「当院には遠方から患者さんが来院するため、退院後、外来でフォローしづらい」と俵氏は残念そうに言う。このため、患者は、入院中に理学療法士から受けた指導を、自宅でも継続していく必要がある。
近年、がん患者に対するリハビリは、かなり理解が進み、全国的に広がってきた。だが、主治医がリハビリの重要性をそれほど認識していない場合もある。もし、リハビリを受けたくても受けられない場合、患者や家族はどうしたらいいか。「病棟の受け持ちの看護師に、リハビリを希望したいと伝えて、医師につないでもらうといいでしょう」と俵氏はアドバイスする。