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がんに負けないお金の話

2019/10/15

がんに負けないお金の話Vol.1

がん患者の「医療費控除」で少しでも多く税金を取り戻すには

福島安紀=医療ライター

 医療費控除は、1年間(1月~12月)の自己負担額が一定額以上になった人の所得税を控除する制度だ。がんの治療にかかる医療費の負担を少しでも減らすために、できるだけたくさん税金を取り戻すコツはあるのか。『スラスラわかる確定申告』(成美堂出版)などの著書がある税理士、山上芳子氏に聞いた。


山上税理士事務所所長の山上芳子氏

 「医療費控除は、医療費がかさんで家計の負担が重かった分、税金を一部戻してもらえる制度です。まずは、医療費控除が受けられるかどうか、生計を1つにしている家族全員の医療費の1年間の領収書を集めて合算してみましょう。がんの治療のためにかかった医療費の領収書だけではなく、他の病気や歯の治療でかかった医療費、通院のために払った交通費、風邪薬、胃薬など市販の薬を買った費用なども合算できます」。山上氏は、そう説明する。

 医療費控除が受けられるのは、1月から12月末までの1年間の医療費の自己負担額から、高額療養費・家族療養費・出産育児一時金や民間保険の保険金として戻ってきた金額を除いて、10万円(所得が200万円以下の人は所得の5%)を超えている場合だ。

 控除を受けるには、最寄りの税務署などへ行くか、インターネットを使って確定申告をする必要がある。確定申告の期間は、例年2月中旬から3月中旬だ。

交通費や家族の医療費もまとめて合算を

 確定申告には、確定申告書、医療費控除の明細書、印鑑が必要だ。国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書や医療費控除の明細書を作成することもできる。以前は、公共機関の交通費以外はすべて領収書の添付が必要だった。しかし、現在は、領収書をもとに医療費控除の明細書を作成して確定申告書に添付すればいいことになっている。ただし、5年間は、税務署から開示を求められることがあるので、医療費の領収書はまとめて保管しておきたい。

 加入している健康保険組合などから、1年間に使った医療費の明細が書かれた「医療費通知」が届いている人は、それを確定申告書に添付すればよい。そこに書かれていない交通費や市販薬の費用などのみ、医療費控除の明細書に記入して提出すればいいわけだ。

 医療費として申告できるのは、病気、けが、歯の治療のためにかかった費用などだ。別々の公的医療保険に加入していても、生計を1つにしている家族全員の医療費を合わせて申告できる。普段住んでいる場所が別でも、単身赴任や仕送りしている家族の分も合算可能だ。

◆控除の対象として認められるもの◆

・医師または歯科医師による診療費、治療費
・出産費用
・医薬品の購入費用(漢方薬・市販薬も含む)
・治療のためのマッサージ・指圧師、鍼灸師、柔道整復師などによる施術費
・人間ドックなどの費用(検査の結果、病気が見付かった場合に限る)
・メタボ健診の結果により行われる特定保健指導費用
・医療機関への電車代、バス代、タクシー代
・入院費用
・介護費用(領収証などに「医療費控除の対象になる金額」と記載のあるもの)
・厚生労働省認定クアハウスなどの利用料(温泉療養証明書が必要)
・海外でかかった治療費、入院費用
・医師の往診の送迎代  など
 
◆控除の対象として認められないもの◆

・予防接種費用
・美容上の費用
・通常要する医療費の範囲を超えるもの(個人の希望で入った差額ベッド代など)
・人間ドックなどの費用(検査の結果、異常がなかった場合)
・入院中にかかった身の回り品購入費、テレビ・冷蔵庫などの貸借料
・親族に支払う療養上の世話代
・自家用車のガソリン代、駐車費用
・医師や看護師への謝礼  など

(『スラスラわかる確定申告』(成美堂出版)より一部改変)


 予防や健康診断の費用は一般的には対象外だが、人間ドックやがん検診でがんなどの病気が見つかった人は、その検査費用も含めてよいことになっている。手術直後、感染対策や痛みや吐き気がつらいなど療養上の理由で個室へ入った場合の差額ベッド代、介護サービスの利用料、先進医療の費用、適応外や未承認の抗がん剤の薬剤費、病院の付き添い費用(家族・親族に払った費用は対象外)も、合計200万円までは医療費控除の対象になる。差額ベッド代については、療養上必要だった旨医師に一筆書いてもらってそれも添付すると万全だが、特に医師の証明書などがなくても申告可能という。

介護保険を使ったサービスの自己負担額も医療費控除の対象

 「がんの患者さんのなかには、ご本人や家族が介護保険を使っている人がいると思います。介護保険を使った一定の施設・在宅サービスの自己負担額も領収証に『医療費控除の対象』と記載があるものは控除の対象になります。忘れずに合算しましょう」と山上さんは強調する。

 対象となるのは訪問看護、訪問・通所リハビリテーション、短期入所療養介護(ショートステイ)などで、これらと併用していれば、通所介護(デイサービス)や訪問介護(家事援助は除く)、訪問入浴も対象になる。

 介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設の費用については、介護費、食費、および居住費として支払った全額を医療費として合算できる。特別養護老人ホームの場合は、1年間にかかった施設サービス費(介護費、食費、居住費など)の半分に当たる金額が医療費として合算可能だ。

 一方、医療用ウィッグや、入院中にかかった身の回り品の購入費などは、医療費控除の対象外だ。高齢者向けの施設でも、有料老人ホームや認知症高齢者グループホームなどは対象にはならない。

 注意したいのは、医療費の自己負担額から、高額療養費制度、出産育児一時金や民間医療保険の保険金で補填された金額は引かなければいけないこと。ただし、がんと診断された際に出る「がん診断給付金」は、医療費を補填するものではないので、医療費から差し引く必要はない。

 がんに対して支払われた保険金は、がんの治療として支払った医療費のみから差し引けばよく、他の病気やけがでかかった医療費から控除する必要はない。もしも、がん保険や医療保険に加入していて、昨年1年間にかかったがんの治療費よりも多い保険金を受け取っていたとしても、他に歯の治療費が20万円と風邪や頭痛用の市販薬の購入費が1万円かかっていたとしたら、その合算額から10万円を引いた金額は全額申告できるわけだ。

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