2011/10/4
2011年7月に都内で開催された「がん政策サミット2011」では、がん患者さんを中心に、全国から、がん対策に取り組む関係者約170人が集まり、各地の好事例を共有し、がん対策を一緒に動かしていくことを議論した。同サミットの議論の中から見えてきた、全国で起こっているがん対策の動きを紹介する。
2011年7月に都内で開催された「がん政策サミット2011」の会場の様子。地域ごとに、患者関係者、議員、行政担当者、医師が、1つのグループとなって会議に参加した。
「一国民として、一県民として、政策に意見を述べる学びを得ました」。「がん政策サミット2011」に参加した患者関係者が、サミット終了後に回収された参加者アンケートに寄せた感想だ。がん政策サミット(以下、がんサミット)は、参加者が自ら政策を考え、提言するための“学びの場”になっている。
「一緒に参加した患者さんや県庁担当者と、共に学んで条例を作ろうと、意思を一つにしています」。これは県議会議員が記入したコメントだ。がんサミットは、がん対策を共に動かす仲間を見付ける場でもある。
「がん政策サミット2011」には、「四位一体(よんみ・いったい)」をキャッチフレーズに、患者さん、都道府県の担当者、都道府県議会議員、医師を含めた医療関係者の4つの立場のがん対策関係者が集まった(図1)。参加者の主な目的は3つ。まず、各地の好事例を学び実践する手法を身に付けること、次に、一緒に活動する仲間を見つけること、そして、がん対策を推進するという情熱を地元に持ち帰ること――である。
「がん政策サミット2011」の概要
日時 |
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2011年7月16日(土)~18日(月) |
テーマ |
がん対策を動かし続けるチーム作り |
目的 |
●国や地域でがん対策を向上し続けるために必要なノウハウ(①チームモデル ②継続運営ノウハウ ③情熱)を身に付け、がん対策に関する議論をリードしよう |
●「がん政策サミット」は2009年から行われており、今回は5回目で、がん政策情報センター第1期プロジェクト(09~11年の3年間)の集大成として開催された |
内容 |
第1部:全国の仲間から~がん対策活動の成果と好事例を共有~ |
第2部:がん対策を動かす仕組みを学び合う~“四位一体”型の議論と意見集約の手法~ |
第3部:振り返りとまとめ~地域の活動につなげよう~ |
特別プログラム:がん対策基本法過去5年間のまとめと新5カ年計画について |
復興シンポジウム:大震災から学ぶこと |
参加者 |
41都道府県から総勢172人 |
患者関係者、国会議員及び秘書、都道府県議会議員、市議会議員、都道府県庁のがん対策担当者、がん診療連携拠点病院の医師など |
図1 全国各地から4つの立場のがん対策関係者が集合
各地のがん対策好事例が共有され、全国に広がっている
2009年春に始まり、同年秋、2010年春・秋、そして今回と、計5回を数える。がんサミットは、がん対策にどのような影響を与えているのだろうか。
現在、全国的に起こっているがん対策の動きの中で、がんサミットが一定の“触媒役”を果たしたと考えられるのが、がん対策推進条例(以下、がん条例)制定活動だ。