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レポート

2020/10/27

がんに負けないお金の話Vol.11

がん体験者の家族は「がん保険」に加入すべき?

福島安紀=医療ライター

 Vol.9でがん体験者でも入れる民間の「がん保険」について取り上げたが、まだがんになっておらず特に病気のない家族は、がん保険に入るべきなのだろうか。「がん保険」に加入するとしたら、どのように選べばよいのか。医療保険やがん保険などに詳しい家計アイデア工房代表のファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)、柳澤美由紀氏に聞いた。


がん治療の外来化・高額化に備える準備を

 「2人に1人ががんになる時代です。家族ががんを体験した人も含め、誰でもがんになるリスクがあります。がんになると何かと出費がかさむので、がんと診断されたらまとまった金額が受け取れる『がん診断給付金』をつけておいたほうがいいと考えています」。柳澤氏は、そう解説する。

家計アイデア工房代表の
柳澤美由紀氏

 その最も大きな理由は、抗がん薬治療などがん治療の外来化と高額化だ。多くの人は、入院したら1日5000円~1万円が給付されるタイプの医療保険や生命保険の入院特約には加入している。しかし、もしもがんになったとき、すべて外来で長期に渡って高額な抗がん薬治療を受けることになったら、高額療養費制度を使ったとしても、医療費自己負担額は入院給付金が中心の医療保険では賄いきれないというのだ。

 「ご家族ががんになった方はよくご存じだと思いますが、外来で抗がん薬治療や放射線治療などを受けた後は、つらいからタクシーを使ったり外食費が増えたりするなど病院に払う以外の出費も増える傾向があります。働いている人が半休・全休等をして長期間治療を受けることになれば、収入が減る場合もあるでしょう。お金の不安があると、がんかもしれないと思ったとき病院へ行くのが遅れる恐れもあります。がんと診断されたらまとまったお金を受けられるがん診断給付金があれば、さまざまな用途に使えて安心です」と柳澤氏。

がん診断給付金が主契約の「がん保険」に加入する選択肢も

 医療保険の「がん特約」を調べてみると、がんと診断された時点でもらえる一時金は「50万円」「100万円」が多い。どの程度の金額に設定したらよいのだろうか。

 「がん治療費は部位や進行度、どういう治療を受けるか、個室に入るか等によって、かかる金額が異なります。とはいえ、大半のがん治療は保険診療となっていて高額療養費の対象となるので、患者負担は限定的です。病院に払う医療費については、個室に入らない限り、1年間で50万円程度覚悟しておけばよさそうです。ただ、有名病院に入院したがん患者の中には、大部屋に入れず、1日数万円する個室を薦められたという話も。個室の利用料は保険診療の対象外で、全額自己負担しなければいけないものです。厚生労働省の患者調査(2017年)によると、がんの平均入院日数は17.1日ですから、がん診断給付金は100万円程度用意しておくのが賢明でしょう。自営業の人の場合、がんになってしばらく働けなくなったときの収入補填分の上乗せも検討しましょう」(柳澤氏)。

 現在加入中の生命保険や医療保険に「がん診断給付金」がつけられない場合、あるいは200万円など、高額な一時金を望むなら、がんに特化した「がん保険」に加入する手もある。その場合、柳澤氏が薦めるのは、「がん診断給付金」を主契約にしている保険だ。理由は、がん保険の入院給付金の必要性が低いから。医療保険や入院特約付きの生命保険に加入している場合、病気やケガで所定の日数以上入院すると入院給付金がもらえる。がんになって入院したときに、医療保険とがん保険の両方から給付金をもらえたら嬉しい気もするが、将来がんになるかはわからず、手厚い保障をつければそれだけ保険料はかさむ。

 がん診断一時金が主契約となっている「がん保険」には、例えば、FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」、東京日動あんしん生命の「がん診断保険R」、メットライフ生命の「ガン保険 ガードエックス」などがある。

 「新がんベスト・ゴールドα」は、がん(悪性新生物)と診断されたときにもらえる悪性新生物診断給付金を10万~300万円まで、10万円単位で選べる。最初にがんと診断されたときから2年経てば、再発・転移があったときや新たに別のがんと診断されたときに、再度、一時金がもらえる仕組みだ。月額保険料は、がん診断給付金の100万円の主契約のみなら、40歳で加入した場合には男性2265円・女性1897円、50歳時に加入なら男性3416円・女性2342円。悪性新生物診断給付金をもらうと、以後の保険料の払い込みが免除になり、2回目以降に関しても、がん(悪性新生物)で入院または通院治療をすれば受けられるのが特徴である。

 「がん診断保険R」は50歳まで加入ができ、70歳までにがんにならなければ、それまで払い込んだ保険料が「健康還付給付金」として戻ってくるタイプの保険だ。やはり、2年に1回、再発・転移の場合でもがん診断一時金が受け取れる。がん診断給付金の100万円の主契約のみなら、保険料は、40歳で加入した場合、男性4545円・女性3565円、50歳時加入なら男性6876円・女性3900円。少し割高だが、掛け捨てではない保険を望む人にお勧めだ。

外来治療だけでも複数回もらえる「がん保険」を選ぼう

 「がん診断給付金がもらえるがん保険・特約を選ぶときに注意したいのは、給付金がもらえる条件に『がんの治療のための入院』という項目が入っているかどうかです。2回目以降は入院しなければ、がん診断一時金がもらえない保険があります。一度も入院しないでがん治療が終わる患者さんもいるので、外来治療だけでももらえる保険がお薦めです。また、古いがん保険の中には、がん診断給付金が1回しかもらえない保険もあります。再発も含めて何回も給付金が支給されるタイプのがん保険・特約を選ぶとよいでしょう」。柳澤氏は、そうアドバイスする。

 なお、がんだけではなく、心臓病や脳卒中も含めた三大疾病に備えたいなら、「三大疾病保険」に入る方法もある。1回きりだが、がん、心臓病、脳卒中で所定の状態になったとき、あるいは、死亡時か高度障害を負ったときに、500万円、1000万円などまとまった金額が受け取れる保険だ。終身保険タイプと定期保険タイプがある。

 三大疾病保障終身保険は月額保険料が高めだが、米国ドル建てなど外貨建ての三大疾病定期保険にすると、保険料が若干低く抑えられる。それでも、例えば、三大疾病と死亡・重度障害に備える、ジブラルタ生命の「米国ドル建て特定疾病保障保険(保険金10万米ドル)」は、40歳で加入し65歳払い済みにする場合には、月額保険料が男性で279.70ドル(約2万9300円※1)、女性で259.6ドル(約2万7200円※1)と高めだ。死亡保障のある保険に入っていない場合には、検討してみてもよいかもしれない。

 「がん診断給付金がもらえるがん保険や特約、三大疾病保障保険もそうですが、がんに関する保障に関しては、責任開始日からその日を含む90日間は待ち期間となっていることは知っておきましょう。この間はがん保障の対象外で、90日目から保障が受けられます。また、がんだけではなく、他の病気、災害、事故、失業など、さまざまな出来事に備えるためには貯金も必要です。すべてのことに保険で備えようと考えずに、がん保険、がん特約などを選ぶ際には、自分の必要な保障が受けられて保険料が低めに抑えられるものを選びましょう」と柳澤氏は強調する。

 がん診断給付金が主契約の「がん保険」でも、保険会社によって保障内容や保険料は異なる。がんになった家族がかかった医療費や治療関連費用などを参考に、必要な保障を検討し、複数の保険会社の商品を比較して選びたい。

※1 2020年9月18日11時のレートで計算


がんに負けないお金の話

Vol.1  がん患者の「医療費控除」で少しでも多く税金を取り戻すには

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Vol.9 がん体験者でも入れる民間の「がん保険」

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