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レポート

2020/10/20

がんゲノム医療は早期治療につながる?リキッドバイオプシーで何ができる?

よりよいゲノム医療の実現へ患者の視点を生かす

中西美荷=医学ライター

活発な意見交換がなされたグループワーク

 講演後に行われたグループワーク「リキッドバイオプシーでこんなことができたら」では、活発な意見交換が行われ、各グループからその内容が発表された。

 特に多かったのは早期発見への期待で、組織生検がしにくい、できないので見つけられないようながんの発見や、ステージやがんの種類までわかるようになるといいとの意見もあった。

 寄せられた質問のひとつは、疾患によって適切な検体はあるかというもので、これについては、たとえば脳腫瘍であれば脳脊髄液、腎臓系であれば尿がいいというように、臓器に近いところ検体を採取すべきとの研究も進められているという。

 リキッドバイオプシーをがん検診で使うことはできないのかとの質問に対しては、リキッドバイオプシーでがんがみつかる確率はまだわずか0.2%ほどで、現時点ではスクリーニングには不向きで、むやみに検査するのは時期尚早であると回答された。定期検診では、すでにエビデンスのあるものを第一に考えた方がいいという。

 中村氏は「まさに私たちが今後やろうとしていることについてのご意見が多かった。自分たちと同じようなクエッションを同じように持っていて、認識や疑問が一致しているという安心感があった。たとえば血液腫瘍のリキッドバイオプシーはどうなっていくのか、早期がんにおけるリキッドバイオプシーは、まずハイリスクのところからやっていくのはどうかなど、自分でもあまり考えていなかった非常に有意義なご意見もいただいた。今後、私たちの研究にも役立てていけると思う」と話した。

 また研究者への要望として、「がんは世界の敵であり、世界でもいろいろなチャレンジが行われているので、連携をして研究開発、データの共有も進めていってほしい」「遺伝性腫瘍の患者の個人情報の保護、いわゆる社会的な不利益からの擁護といった倫理の部分についても、科学と同時に進めていけるといい」といった意見も出された。

 谷口氏は、「研究者は、米国の研究者あるいは欧州、全世界の研究者と結びついていて、研究者研究者間で、世界的な取り組みを進めている。また倫理的側面はわれわれも非常に重要視している。非常に大事なご意見だと思う」と述べた。

 研究者側からは、COSMOS試験など健常人にがんを調べる試験に参加してもらうことは容易ではないことが明かされた。解決のためのアイデアとして、患者側から、

「あと何人必要か、あとどのぐらいの時間が必要か、みんな協力したら何が達成できるかを“見える化”できれば、協力するのではないか」

「がん検診を受けない人の理由で、がんを知りたくないというものがある。がんになっても大丈夫だよという世の中を作っていかないといけないと思う」

「がん検診を受ける人は毎年受けている。まずはそうした健康意識の高い人をターゲットにしたり、自治体、保健所、健康保険組合などとコラボして、検診時に同時にリキッドバイオプシーを行えばいいのではないか」

「患者にとって血液検査は馴染みがあるが、針を刺して血液を取るということは、健常者はあまり好まない。やはり集団検診などに、同時に行えればいいのではないか」

といった意見が出された。

 「自宅や近所のクリニックで簡単に採血して送れる器具があればいい」という意見もあり、これについては、実際、そういう採血管の研究も進んでいるという。また、経過観察において、リキッドバイオプシーをCTやPET、MRIといった検査の代替として行えれば、コスト削減にもつながるのではないかなど、患者視点での意見は多岐にわたった。

 谷口氏は、「非常に良い議論ができた。一番印象に残ったのは、リキッドバイオプシーは気楽に検査ができるから、患者さんの方から、この検査をしてほしいと言いやすいという意見で、ハッとさせられた。やはり医師と患者というところで、普段から患者さんに気を使わせているのかなというところもあるが、リキッドバイオプシーには、それを破るひとつのアイテムとしてのメリットがあるということを、私自身気づいていなかったので、参考になった」「我々、サイエンスの部分ばかり追求することもあって、なかなか患者の立場に立った、本当にいいものというところが欠けている部分がある。ご意見、非常に参考にさせていただいた」と話した。

 会の終わりに挨拶した全国がん患者団体連合会理事の眞島喜幸氏は、「日本だけではなく世界を巻き込んだ形で頑張っていただいて、我々も参加し、製薬企業の方にも参加していただいて、迅速にお薬が届けられるような体制づくりを一緒にさせていただければと思う。これを最初のステップにして、これから長い間一緒に活動させていただければと思う」と話した。

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