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レポート

2020/07/28

がんに負けないお金の話Vol.9

がん体験者でも入れる民間の「がん保険」

福島安紀=医療ライター

 「がんになったらがん保険に加入できない」と思い込んでいないだろうか。日本人の2人に1人ががんになり、治る人も多くなった現代、がんを体験した人でも入れる「がん保険」が登場している。「万が一、再発・転移したり、別のがんになったりしたら心配だから、がん保険に加入したい」という人を対象に開発された保険商品だ。


治療最終日から5年以上経てば加入できるがん保険とは

 がん体験者でも入れる「がん保険」は、現在2種類ある。1つは、アフラック生命保険の「生きるためのがん保険 寄りそうDays」だ。この保険の加入条件は、満20~85歳で、がんの治療を受けた最後の日から5年以上経っていること。なおかつ、過去5年以内に、がんの診断や治療を受けるよう勧められたことがなく、一般のがん保険と同じように、所定の健康条件を満たしている場合に加入できる。

 このがん保険は、「がん」、あるいは、「上皮内新生物」(大腸の粘膜内がんや非浸潤性乳がんなど)の治療で入院・通院したり、手術、放射線治療を受けたりしたときに、給付金が受け取れるものだ。新たに別のがんになったときはもちろん、過去に経験したがんが再発・転移した場合にも給付金は支払われる。

 保障の内容は、1日当たりの入院・通院給付金の金額が5000円のコースと1万円コースがある。入院給付金日額5000円コースは、手術・放射線・抗がん剤といった三大治療のための通院時も1日5000円、がん・上皮内新生物で手術、放射線治療を受けたときにそれぞれ1回10万円の給付金が出る。1万円コースは倍になり、入院・通院時は1日1万円、手術、放射線治療1回の給付金は20万円だ。がん・上皮内新生物の三大治療のための通院は、日数無制限で保障される。

専門医の紹介やがん相談が無料で受けられる付帯サービスも

 オプションとして、通院の抗がん剤治療を受けたときに月5万円か10万円の一時金を受け取る「抗がん剤治療特約」、がんの治療として健康保険が使えない先進医療を受けたときにその自己負担額を全額負担してもらえ一時金が出る「がん先進医療特約」をつけることもできる。先進医療とは、厚生労働省に指定され、有効性や安全性が検討されている保険診療外の新しい治療のことだ。一緒に提供された診療費や入院費などには健康保険が使えるが、先進医療の費用は全額自己負担になる。例えば、現在先進医療の対象になっている陽子線治療や重粒子線治療には約300万円かかるので、そういった治療も選択肢として考えたいという人はがん先進医療特約を付けておいたほうがいいことになる。

 この保険の特徴は、「がん患者専門カウンセラー」の看護師の訪問面談相談、専門医紹介、セカンドオピニオンなどを無料で受けられる「がん治療相談サービス」がついていることだ。ただし、まだがんになっていない人を対象にした一般的ながん保険では、がんと診断された時点で25万~300万円、まとまった給付金が受け取れるものが多いが、このがん保険には、そういった一時金の設定はない。
 
 気になる月額保険料は契約時の満年齢と性別によって異なり、例えば、入院給付金日額5000円コースは30歳男性2465円・女性2240円、40歳男性2760円・女性2500円、50歳男性3300円・女性2710円、60歳男性4020円・女性3085円だ。入院給付金日額1万円コースの月額保険料は、例えば40歳男性5520円・女性5000円など、5000円コースの倍の金額に設定されている。

 さらに、抗がん剤治療特約を付けた場合には、30歳男性1175円・女性1917円、40歳男性1335円・女性2080円、50歳男性1865円、女性は2005円、がん先進医療特約を付けた場合には年齢に関わらず241円、月額保険料が上乗せされる。つまり、入金給付金日額1万円のコースに抗がん剤治療特約とがん先進医療特約を加えると、月額保険料が50歳の男性なら8706円、女性なら7666円だ。保険は終身契約で月額保険料は一生変わらないが、特に抗がん剤治療特約を付けると保険料が割高になるので、加入の際には、本当に特約が必要かどうかは吟味したい。すでに、民間の医療保険に加入していて先進医療特約をつけているようなら、改めてがん先進医療特約を付ける必要がない可能性もある。

乳がん体験者が対象の自由診療がん保険

 もう1つ、がん体験者でも入れるがん保険は、セコム損害保険の「自由診療保険メディコムワン(MEDCOM One)」だ。対象は、満20~65歳の乳がん体験者の女性で再発・転移がなく、それ以外の病気にかかっていないうえ、現在はがんの所見がない人。加入は、乳がんの手術から一定期間経過していることが条件になる。加入可能な経過期間はステージによって異なり、手術からの期間がステージ0なら半年超、ステージⅠは1年超、ステージⅡは3年超、ステージⅢ・Ⅳなら6年超経っている人が加入できる。

 セコム損保のがん保険の特徴は、万が一、乳がんが再発・転移したときや新たに別のがんになったときに、保険診療、先進医療、自由診療のがん治療も含め、がんの治療費の自己負担分を基本的にはすべて保険で賄えることだ。入院治療費は無制限、通院治療費は5年ごとに1000万円までかかった費用がすべて保険給付され、有料のセカンドオピニオン外来の費用もカバーされる。がんに関する相談やセカンドオピニオンを無料で紹介するサービスもついている。

保険期間、月額保険料と保障内容も吟味を

 メディコムワンは、同社が乳がんの早期発見・早期治療を推進するピンクリボン運動に参加したことをきっかけに誕生したという。

 自己負担なしでがん治療が受けられる点は手厚いが、その分、保険料は割高だ。月額保険料は、加入時の満年齢、乳がんのステージと手術日からの経過期間によって異なる。例えば、月額保険料はステージ0で30歳の人なら手術日から10カ月超~3年半超は5280円、5年半経つと5060円、40歳の人なら10カ月超~3年半超は6470円、5年半超で6250円。50歳なら10カ月超~3年半超なら7770円、6年半超経っていれば7630円。ステージIで40歳は手術日から1年半超で9890円、3年半超で9670円、6年半超で8320円、50歳なら1年半超で1万730円、3年半で1万500円、5年半超で9150円だ。ステージIIで手術から3年半超の人が最も保険料が高く、40歳で1万3890円、50歳で1万4730円、5年半超経っていれば40歳で1万1490円、50歳で1万2320円。ステージIIIで手術から6年半超なら40歳で1万1240円、50歳で1万2070円だ。

 注意したいのは、保険期間が5年間であること。5年間は月額保険料が変わらないが、5年後の満年齢と手術日からの経過年数によって、徐々に保険料が上がっていく仕組みになっている。また、科学的根拠のあるがん治療は、その多くが公的医療保険診療の対象になっており、高額療養費制度など公的医療保険には自己負担を軽減する制度もある。自由診療のがん保険の中には科学的根拠の乏しいものもある点にも留意したい。

 新たにがん保険に加入するかどうかは、過去に経験したがんが再発・転移したり、新たにがんになったりする確率が高いと考えるかどうか、そして、保障内容に保険料が見合っているかと思えるかが決め手になりそうだ。加入を検討したい人は、アフラックセコム損保のホームページから資料を請求してみるとよいだろう。

 次回は、がんになったことのある人でも入れる「医療保険」について取り上げる。

がんに負けないお金の話

Vol.1  がん患者の「医療費控除」で少しでも多く税金を取り戻すには

Vol.2  がん治療費の自己負担を軽減する「高額療養費制度」フル活用術

Vol.3  該当するなら活用したい 高額介護合算療養費、傷病手当金、ひとり親家庭等医療費助成、ウィッグ・胸部補正具助成

Vol.4  徐々に増える小児・AYA世代のがん患者への助成

Vol.5  もしものときのために知っておきたい「介護保険」活用術

Vol.6  現役世代が、がんでも受給できる可能性がある「障害年金」

Vol.7  医療費がかさみ、生活費や教育費の工面に困ったときの対処法

Vol.8 医療費や生活費のためにも知っておきたい、がん患者への就労支援

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