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レポート

2020/07/21

子宮頸がんの治療3. 放射線療法

放射線療法は子宮頸がん治療で幅広い役割

照射技術の進化で局所制御は向上し副作用は低減

八倉巻尚子=医学ライター

IB期、II期に手術療法と並んで放射線療法も有効な治療法

 IA期(組織学的にのみ診断できる)は手術療法が主治療であるが、IB期、II期は「手術療法が大きな役割を占めているが、放射線療法も1つの選択肢として役割を果たしてきた」。IB期は、腫瘍径が4cm以下のIB1期と4cmを超えるIB2期に細分類される。IIA期(膣壁浸潤が認められる)も腫瘍径が4cm以下はIIA1期、4cmを超えるものはIIA2期に分類される。

 子宮頸癌治療ガイドライン2017年版で、IB1期・IIA1期の扁平上皮がんに対して、広汎子宮全摘出術あるいは根治的放射線治療が推奨されている(グレードB)。その根拠となるデータとして、イタリアで行われた無作為化比較試験がある。I期とII期を対象に手術療法と放射線単独療法が比較された結果、どちらも良好な成績で差がなかった(Landoni F, et al. Lancet 1997;350:535-40)。しかし「4cmを超える病変では、手術療法、放射線療法ともに腫瘍制御が困難になってくることが示され、それが当時の問題点となった」。

 そこに出てきたのが、シスプラチンを中心とするCCRTだった。上記の18の無作為化試験のメタ解析において、I期、II期においても放射線単独療法よりCCRTのほうが優っていることが示された(J Clin Oncol. 2008;26:5802-12)。日本でもI、II期に対する多施設共同の後方視的研究で放射線単独療法よりもCCRTの方が有意にOSを延長することが示されている(Ariga T, et al.J Radiat Res 2015; 56:841-48)。腫瘍径が4cmを超える場合、放射線単独療法での5年生存率は60%だが、化学療法との併用で81%に改善していた(p=0.002)。このためIB2期・IIA2期の扁平上皮がんに対して、広汎子宮全摘出術(+補助療法)あるいは同時化学根治的放射線療法がガイドラインで推奨されている(グレードB)。

 IIB期(子宮傍組織浸潤が認められる)扁平上皮がんに対しても、広汎子宮全摘出術(+補助療法)あるいは同時化学根治的放射線療法が推奨されている(グレードB)。上記の国内多施設共同研究でIIB期の5年生存率は放射線治療で74%と良好だった。またインドの単施設の無作為化試験で、IB2-IIB扁平上皮がんを対象にNACとそれに続く手術とCCRTが比較された結果、無病生存率はCCRTのほうが優っていたが、全生存率ではほぼ同等という結果が示されている(J Clin Oncol 2018; 1548-1555)。なお米国NCCNガイドライン(2020年版)では、旧FIGO分類のIB2期からIVA期までの治療は全てCCRTのみを推奨している。

 IB、II期の腺がんに関して、子宮頸癌治療ガイドライン2017年版では、広汎子宮全摘出術(+補助療法)、同時化学放射線療法がいずれも「考慮される」(グレードC1:行うことを考慮してもよいが、未だ科学的根拠が十分でない)という位置づけになっている。根治的放射線療法より手術療法のほうが予後は良いという報告もあり、上記のイタリアでの無作為化試験では、腺がんのサブグループ解析で、手術療法のほうが放射線単独療法より優っているという結果だった(Landoni F, et al. Lancet 1997;350:535-40)。これらのことから、IB、II期の腺がんに対して広汎子宮全摘出術が考慮されるが、手術が困難な場合は扁平上皮がんと同様に根治的放射線治療が考慮されると、ガイドラインに記載されている。

術後照射はリスク分類に準じて施行、有害事象を減らす試みが進行中

 広汎子宮全摘出術などの手術療法が施行された後は、病理組織検査の結果によって、再発リスク分類がされる。再発の高リスク群には術後補助療法としてCCRTが推奨されている(グレードB)。中リスク群には術後に放射線単独療法またはCCRTが考慮される(グレードC1)。

 ただし「手術療法に続く放射線療法といったダブルパンチの治療であるため、下肢のリンパ浮腫や腸閉塞には注意が必要である」と野田氏は述べた。最近では、「強度変調放射線治療(IMRT)によって、正常組織への線量を低減する試みがされている」。それにより照射による副作用が軽減する可能性がある。現在、その有用性について検証されており、術後再発高リスクに対するIMRTを用いた術後CCRTのJCOG1402試験が進行中である。

再発がんに対する放射線治療の役割は

 骨盤内に限局した再発に対しては、前治療として放射線治療が行われていない場合、放射線治療が推奨されている(グレードB)。またシスプラチンを併用するCCRTも考慮される(グレードC1)。

 骨盤外再発として最も多いのは、骨盤より上の傍大動脈リンパ節への転移で、ほかに骨転移や肺転移も見られる。傍大動脈リンパ節転移に対しては放射線治療またはCCRTを考慮する(グレードC1)。「多くの施設では50-60Gyを5-6週間程度かけて行うことが1つの選択肢になっているかと思う」と野田氏。骨転移には、疼痛除去を目的に、単回照射あるいは2週間かけて行う分割照射が推奨され(グレードB)、単回照射と分割照射の効果は同等だという。「放射線治療を行うことにより、7-8割程度の患者さんでがん性疼痛が軽減するというデータがある」。

 また肺転移が1個から3個程度であれば手術療法または定位放射線治療を考慮する(グレードC1)。定位放射線治療はピンポイントに病巣だけを狙う方法で、4-5日程度かけて行われる。「ピンポイントに狙った病巣では、ほぼ100%制御できるというのがこの定位放射線治療の強みでもある」と話した。

 令和2年診療報酬改定では、定位放射線治療の適用が拡大された。子宮頸がんに関連するところとして、5個以内のオリゴ転移(少数転移)と、直径5cm以下の転移性脊椎腫瘍に対する定位放射線治療が保険で可能になった。「いずれも化学療法などの他の治療モダリティと併用することによって、今後新しい治療戦略が練られることを期待している」と野田氏は語った。


子宮頸がんの治療1. 手術
子宮頸がんの若年化で変わってきた手術の術式


子宮頸がんの治療2. 化学療法
子宮頸がんの根治的治療をサポートする化学療法

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