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レポート

2020/05/19

がんに負けないお金の話Vol.7

医療費がかさみ、生活費や教育費の工面に困ったときの対処法

福島安紀=医療ライター

子育て世代は学費の負担を減らす制度の活用検討を

 医療費とは直接関係はないが、子どものいる現役世代ががんになって収入が減ったときに苦労するのが教育費の工面だ。「休職や失業によって世帯収入が大きく減ったときには、高等教育修学支援制度の利用を検討してみるとよいでしょう」と坂本さん。

 高等教育修学支援制度は、経済的な理由で大学や専門学校への進学をあきらめなくて済むように創設された国の制度。今年4月から対象者を拡充して新たにスタートした。本人の世帯の所得が住民税非課税かそれに準じる範囲で、成績や学ぶ意欲が基準を満たした学生が、対象になる大学、短大、高等専門学校、専門学校に通う場合に、入学金や授業料の減免と給付型の奨学金の支給が受けられる制度だ。例えば、父親が給与所得者、母親が専業主婦、本人、中学生の妹か弟の4人家族の場合、年収が約380万円以下ならこの制度が利用できる。

 世帯年収によって授業料の減免額と支給額は3段階ある。最も多い支援が受けられるのは住民税非課税世帯。国公立大学なら入学金約28万円、授業料約54万円、私立大学なら入学金約26万円、授業料70万円を上限にその費用が減免され、自宅通学で月2万9200円(生活保護世帯は3万3300円)、自宅外通学で月6万6700円が支給される。住民税は払っているが世帯年収が300万円の場合の減免額と支給額は上限額の3分の2、それ以上380万円以下は3分の1だ。なお、主たる生計維持者の収入が、がんの治療などによって激減したり失業したりして家計が急変した場合にも、この制度が活用できる。

 詳しい制度の内容や手続き方法は、「高等教育修学支援新制度」のサイト()で確認してみよう。相談は、日本学生支援機構・奨学金相談センター(電話 0570-666-301)が窓口だ。世帯年収によって、給付型の奨学金が使えない場合には、貸与型の奨学金を検討する方法もある。

 また、私立の高校や大学の中には、成績優秀者や、主たる生計維持者の死亡や病気、災害による減収などの事情に応じて授業料の減免をしているところもある。がんの治療費がかさんで学費の支払いに困った場合には、学校に相談してみるとよいだろう。

本当に困窮している場合には生活保護を受ける手も

 「医療費の支払いだけではなく、生活費の工面にも困っている場合には、かかっている病院のソーシャルワーカーや最寄りのがん診療連携拠点病院にある『がん相談支援センター』で相談してみてください。本当に困窮していて食費や医療費の支払いにも困るようなときには、生活保護制度の利用を検討してもよいでしょう。さまざまな条件を満たす必要はありますが、一時的に生活保護を申請して、治療に専念するとともに生活を維持することを選択する方もいます。また、治療がひと段落したら改めて仕事に付き、生活保護受給を終了する患者さんもいらっしゃいます」と坂本さんは話す。

 生活保護は、生活困窮者に対して、健康で文化的な生活を保障し自立を助長する制度だ。生活保護の対象になると、食費、被服費、光熱費など日常生活に必要な生活扶助費が支給され、医療費や介護サービスの自己負担はなくなる。ただし、預貯金、生活に利用されていない土地や家屋などの資産があれば売却する必要があり、可能なら親族からの援助が求められる。生活保護を受けるための相談は、住んでいる自治体の福祉事務所が窓口だ。

 国立がん研究センターがん対策情報センターが2015年に実施した「患者体験調査」では、経済的な理由でがん治療を変更・断念したことのあるがん患者の割合は2.7%だった。厚生労働省の患者調査(2017年)によると、がんで治療を受けている推計患者数は178万2000人で、その2.7%とすると約4万8000人になる。活用できる制度は利用し、経済的な理由だけで治療を断念するようなことは避けるようにしたい。


がんに負けないお金の話

Vol.1 がん患者の「医療費控除」で少しでも多く税金を取り戻すには

Vol.2 がん治療費の自己負担を軽減する「高額療養費制度」フル活用術

Vol.3 該当するなら活用したい 高額介護合算療養費、傷病手当金、ひとり親家庭等医療費助成、ウィッグ・胸部補正具助成

Vol.4 徐々に増える小児・AYA世代のがん患者への助成

Vol.5 もしものときのために知っておきたい「介護保険」活用術

Vol.6 現役世代が、がんでも受給できる可能性がある「障害年金」

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