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レポート

2020/05/19

がんに負けないお金の話Vol.7

医療費がかさみ、生活費や教育費の工面に困ったときの対処法

福島安紀=医療ライター

 これまで、治療費や介護費の負担を軽減する高額療養費制度 高額介護合算療養費 内部障害でも受給できる場合がある障害年金などを紹介してきたが、がんの治療中は、生活費や子どもの教育費が捻出できなくなる事態になることもある。生活費や教育費に工面に困ったときにはどうしたらよいのか。慌ててカードローンの利用などを検討する前に、知っておきたい制度を紹介する。


社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」とは

 がんの治療費は高騰化している。高額療養費制度を使って治療費の自己負担額は軽減されても、高額な分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの投与によって、生活費がひっ迫する患者さんも少なくない。

 一般的な生活費の支援として、都道府県社会福祉協議会が実施しているのが、「生活福祉資金貸付制度」だ。生活資金の低所得者や高齢者、障害者を経済的に支え、在宅福祉や社会参加の促進を目的としている。この制度には、大きく分けて、1. 総合支援資金、2. 福祉資金、3. 教育支援資金、4. 不動産担保型――の4種類がある。

 1つ目の総合支援資金の中で、がんの治療によって収入が減ったり無収入になったりして、生活再建までに必要な生活費用を工面するために利用できるのが「生活支援費」だ。単身者は最大月15万円、2人以上の世帯なら月20万円まで、原則3カ月、最長1年間、連帯保証人がいれば無利子で借り入れができる。連帯保証人がいない場合の金利は年1.5%だ。総合支援資金を活用するためには、仕事を継続していたり就職が内定していたりする場合を除き、就労支援などを受ける生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の利用が条件となる。

 低所得者に限らず、新型コロナウイルス感染症の影響による休業、失業によって収入が減少したために、緊急かつ一時的な生活費の借り入れが必要な場合には、2番目の福祉資金の「緊急小口資金」として融資が受けられる。緊急小口資金は通常10万円までだが、今年度に限って、学校等の休業や個人事業主等の特例を利用した場合には最大20万円の融資が受けられ、返済期限は2年以内に拡充されている。利子だけを払う据置期間は通常は2カ月だが、現在は1年に延長されている。

 また、福祉資金の「福祉費」は、病気やけがの療養と療養期間中の生計を維持するために必要な経費、介護サービスや障害サービスなどを受けるのに必要な経費、就職・技能者取得等の支援に必要な経費として借りられる貸付制度だ。用途に応じて最大560万円まで借りられる。これらの貸付制度は連帯保証人がいれば無利子で、いなければ1.5%の利子が付く。

坂本はと恵 氏

 「社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度は、基本的には低所得者や高齢者、障害者を対象にした制度です。原則、返済できる見通しがあることが条件なので、残念ながら、抗がん剤治療を受け続けているような患者さんが対象外となる場合があります。住民税非課税世帯やそれに近い低所得の世帯の人や高齢者で治療がある程度終わって、これから生活を立て直そうとしている人でお金を借りたい人はこの制度の利用を検討してもよいかもしれません。ただ、無利子とはいえ、生活福祉資金は返済しなければならない借金です。ほかに使える資金がないかもよく検討してから利用を考えましょう」。国立がん研究センター東病院サポーティブケアセンター/がん相談支援センター・副センター長(がん相談統括専門職)の坂本はと恵氏は、そうアドバイスする。

不動産担保型生活資金、生命保険のリビングニーズ特約の使う方法も

 低所得か保護の必要な高齢者が、一軒家などに1人で暮らしていて、生活費に困っているときには、4. の不動産担保型生活資金を利用する方法もある。土地の評価額の70%程度を上限に月最大30万円借りられる貸付制度だ。いわゆる「リバースモーゲージ」と呼ばれる方法で、持ち家と土地を担保に、自宅に住み続けながら融資を受け、死亡後に家や土地を売却し、その代金の一部か全部を返済にあてる。不動産担保型生活資金の貸付利率は年3%、または長期プライムレートの低い方だ。

 生活支援費、緊急小口資金、不動産担保型生活資金の相談は、市区町村の社会福祉協議会が窓口になる。リバースモーゲージは、銀行でも取り扱っているところが多い。ただし、持ち家や土地の評価額と借入金額によっては、遺族に借金が残ることもあるので慎重にしたい。

 「公的な制度のほかに、患者さん本人が契約している医療保険、生命保険や簡易保険の医療特約など、請求し忘れているものがないかも確認してみましょう。例えば、生命保険のリビングニーズ特約です。この特約を付けていて、医師から余命6カ月以内と診療を受けた場合に、生きている間に生命保険金の一部あるいは全部を受け取ることができます」と坂本さんは指摘する。

 リビングニーズ特約は、特約保険料が無料のため、多くの生命保険に付加されている。なお、請求時には、医師の診断書などが必要になる。生命保険のリビングニーズ特約の活用を検討する際には、保険会社に問い合わせてみるとよいだろう。

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