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レポート

2020/04/21

膵臓・胆管がんのロボット手術Vol.1

膵臓の高難度手術にもロボット手術が保険で可能に

森下紀代美=医学ライター

悪性腫瘍の手術で開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット手術が選択肢に

 腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は、その難易度の高さから、2016年4月に保険適用となった際には「原則として脈管の合併切除およびリンパ節郭清切除を伴わないもの」とする限定条件がついた。そのためこの手術は良性から低悪性度の腫瘍に対して行われ、胆管がんや十二指腸がん、膵がんなどの悪性腫瘍に行われることは少なかった。さらに安全性を確保するため、この手術を行う施設には、年間の膵臓手術の件数や術者などについての厳しい基準を満たしていることが求められた。

 その後、厳しい基準を満たす施設では腹腔鏡下十二指腸切除術が安全に行われていることが証明され、2020年4月には、悪性腫瘍で「リンパ節・神経叢郭清等を伴う」「周辺臓器の合併切除を伴う」腫瘍切除術に対しても保険適用が認められた。そして同時にロボット支援下膵頭十二指腸切除術も保険適用となり、膵臓やその周囲に発生した悪性腫瘍に対する手術の選択肢は、開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット手術の3つとなった。ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の保険点数は、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術と同じで、既存の手術と有効性、安全性が同等と判断された場合は保険点数も同じとされている。

 患者が負担する金額は手術の方法によって異なり、以下の保険点数に10を掛けた金額の一部(2割や3割など加入している健康保険の種類により異なる)となる。

〇開腹手術
・膵頭十二指腸切除術の場合 8万1620点
・リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術の場合や、周辺臓器(胃、結腸、腎、副腎等)の合併切除を伴う腫瘍切除の場合など 8万6810点
・血行再建を伴う腫瘍切除術の場合 13万1230点

〇腹腔鏡下手術
・膵頭十二指腸切除術の場合 15万8450点
・リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術の場合 17万3640点

現時点では保険適用の基準を満たす施設は限定的

 ロボット支援下膵頭十二指腸切除術を行うことができる施設の基準も厳しく設定され、「内視鏡手術用支援機器(ダヴィンチ)を用いた腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術または腹腔鏡下膵頭部腫瘍切除術(膵頭十二指腸切除術のこと)を術者として、合わせて5例以上実施した経験を有する常勤の医師が1名以上配置されていること」「膵臓手術を年間50例以上実施しており、そのうち膵頭十二指腸切除術を年間20例以上実施していること」などが含まれた。

上尾中央総合病 院肝胆膵疾患先進治療センター長・消化器外科科長の若林剛氏

 現時点では、ロボット支援下膵頭十二指腸切除術を保険適用で行える施設は全国でも限られている。藤田医科大学(愛知県)、上尾中央総合病院(埼玉県)、東京医科大学(東京都)、九州大学(福岡県)と、日本肝胆膵外科学会の修練施設Aの一部とみられる。修練施設Aとは、高難度肝胆膵外科手術を年間50例以上行っている施設のことで、2019年7月31日の時点で全国に125施設ある(日本肝胆膵外科学会)。日本肝胆膵外科学会によると、ロボット支援下膵切除術では、膵頭十二指腸切除術と今回同時にロボット手術が保険適用となった膵体尾部切除術の両方を合わせて、現時点では基準を満たす施設は全国で10施設に届かないとみているという。

 若林氏らの施設では、保険適用となってから週1回のペースでロボット支援下膵頭十二指腸切除術を行っており、都内の複数の大学病院から、この手術を行うことを希望する医師が手術の見学に訪れている。今後、施設基準の1つである5例のロボット手術を各施設の負担で行い、その後に保険適用で行う施設が徐々に増えることが期待される。


膵臓・胆管がんのロボット手術Vol.2
ロボットを用いて膵臓の高難度手術での合併症減少を目指す

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