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レポート

2020/02/25

がんに負けないお金の話Vol.5

もしものときのために知っておきたい「介護保険」活用術

福島安紀=医療ライター

利用できる在宅サービスは福祉用具の貸与、訪問介護、訪問リハビリなど

 要介護度は、要支援1、2、要介護1~5まで7段階ある。要支援1が最も生活自立度が高く、要介護5は全面的な介助が必要で寝たきりかそれに近い状態だ。介護保険で受けられる居宅(在宅)サービスには、福祉用具の貸与、訪問介護、訪問入浴介護、訪問リハビリテーションなどがある(表1)。病院で使っているような電動介護ベッド(特殊寝台)、車椅子、床ずれ防止用具、自動排泄処理装置などの福祉用具も、介護保険を利用して1~3割の自己負担で借りられる。

 また、移動が困難になったときに使うポータブルトイレ(腰掛け便座)、風呂場につける手すりや入浴用の椅子など、特定福祉用具の購入費も年間10万円を上限に支給が受けられる。手すりや段差解消のために住宅改修した場合の費用も、事前に申請すれば、20万円を上限に、7~9割支給される。

 在宅ケアを受ける場合に介護保険でどのサービスを使うかはケアマネジャーと相談し、ケアプランを作成してもらう。どの事業者のケアマネジャーに依頼すればよいのかわからない場合には、がんの治療を受けている病院の相談室や市区町村の介護保険窓口、地域包括支援センターで情報を得るとよいだろう。

自己負担割合は40~64歳は1割、65歳以上は所得によって1~3割

 介護保険の自己負担割合は、患者本人が40~64歳の場合は1割だ。65歳以上は本人と世帯収入によって1~3割に分けられる(表2)。受けられるサービスの内容と支給限度額(表3)は要介護度によって異なる。例えば、要介護2なら、1カ月に約19万7050円相当の介護サービスが受けられるわけだ。身体介護中心の訪問介護1回の利用料は地域によって多少料金が異なるが、20分以上30分未満なら2490円(1単位=10円の地域、東京23区の場合は2838円)、30分以上1時間未満なら3950円(同、4503円)で、1割負担の人はそれぞれ10分の1の金額で利用できる。

 ただし、福祉用具の貸与については、要介護度や本人の体の状態によって利用できない場合がある。基本的に、福祉用具の貸与が利用できるのは要介護2以上で、要支援1・2、要介護1は対象ではないからだ。しかし、厚生労働省は2010年10月、「末期がん等の方への福祉用具貸与の取扱等について」と題した通知を出し、介護が必要と認められたがんの患者に対しては、要支援1・2か要介護1でも、市区町村の判断で、介護保険を用いた福祉用具の貸与をしてよいと特例を認めている。

 「がん患者さんの場合、要介護認定を受けるときには比較的自立していて、亡くなる2週間~1カ月くらい前に急に容態が悪化して身の回りのことが自分でできなくなることが少なくありません。そのため、最初は要介護度が要支援や要介護1になったとしても、電動介護ベッドや車椅子などの福祉用具が必要になります。現在は、要介護認定を受けたがんの患者さんに対しては、たとえ要介護1より軽度でも、患者さんの身体状況によっては『軽度者への福祉用具の例外給付』の手続きを行うことで、福祉用具の貸与が利用できます」(坂本氏)

がんの在宅緩和ケアに力を入れる訪問診療医が身近にいるかも確認を

 がんが他の臓器に転移し回復の見込みがないとわかった段階で、身の回りのことが自分でできなくなったときの療養場所をどうするかなど、患者・家族と一緒に考える看護外来を開設する病院も出てきた。要介護認定の申請は、化学療法などを受けている段階でも、介護が必要だと認められるような状態なら可能だ。その際、がんの在宅緩和ケアに力を入れる訪問診療医が近くにいるかどうかも重要になる。

 「急に容態が変化して、最期は家に帰りたいと思っていたのにできなかったと後悔する患者さんもいます。残された時間をできるだけ自宅で過ごしたいと考えているのなら、身近にがんの在宅緩和ケアを行う訪問診療医がいるのか調べ、介護保険の申請をどうするかなど、普段から確認しておきましょう。訪問診療医の情報は、がんの治療を受けている病院の相談室や最寄りのがん診療連携拠点病院の相談支援センターで入手できます」と坂本氏はアドバイスする。

 介護保険の在宅サービスや医療保険による訪問診療や訪問看護を活用して、一人暮らしでも、最後まで自宅で過ごす人もいる。家族がいる場合は、容態が悪化したときどうするのか話し合っておく必要もありそうだ。


がんに負けないお金の話

Vol.1  がん患者の「医療費控除」で少しでも多く税金を取り戻すには

Vol.2 がん治療費の自己負担を軽減する「高額療養費制度」フル活用術

Vol.3  該当するなら活用したい 高額介護合算療養費、傷病手当金、ひとり親家庭等医療費助成、ウィッグ・胸部補正具助成

Vol.4  徐々に増える小児・AYA世代のがん患者への助成

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