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レポート

2020/01/28

がんに負けないお金の話 Vol.4

徐々に増える小児・AYA世代のがん患者への助成

福島安紀=医療ライター

 2018年3月に閣議決定された国の第3期がん対策推進基本計画では、AYA(Adolescent and Young Adult:思春期と若年成人)世代のがん医療体制の整備が、取り組むべき課題に挙げられている。AYA世代とは、おおむね15~39歳を指す。進学、就職、結婚、妊娠・出産など人生のライフイベントの多い時期でもある。自治体の中には、AYA世代のがん患者の妊孕性温存治療費補助や在宅療養生活支援を行うところが少しずつ増えてきた。


18歳未満のがん患者は小児慢性特定疾病で医療費負担を軽減

 10代から20代のがんは、白血病、リンパ腫、脳腫瘍などが多く、治療が長期間に渡るために医療費の自己負担がかさむことも少なくない。医療費の負担は、同じAYA世代でも、18歳未満と18歳以上で大きく異なる。18歳未満でがんになった場合には、20歳になるまで小児慢性特定疾病として医療費助成が受けられるからだ。

 小児慢性特定疾病は、児童の健全育成などを目的に、医療費の自己負担が軽減される制度。都道府県や指定中核都市などで所定の手続きをして、小児慢性特定疾病医療受給者証を取得すれば、指定小児慢性特定疾病医療機関で治療を受ける際の患者自己負担は2割になり、扶養者の所得が一般所得Ⅰ(夫婦2人子ども1人世帯で年収約430万円以下)の場合で1カ月の自己負担限度額が5000円、一般所得Ⅱ(同年収431万~850万円以下)なら1万円になる(下表)。

●小児慢性特定疾病の医療費助成の自己負担上限額


 高額な医療費が長期間続いたときや、がんの転移・再発があるなど重症患者基準に当てはまる場合には、さらに自己負担が軽減され、一般所得Ⅰの人で自己負担限度額が2500円、一般所得Ⅱで5000円になる。人工呼吸器等装着者の自己負担限度額は所得に関係なく月500円だ。

 なお、「自己負担限度額管理票」を窓口に提出すれば、自己負担限度額以上の金額を支払う必要はない。小児慢性特定疾病医療受給者証を取得するためには、指定医に医療意見書を記載してもらい、住んでいる自治体に提出する必要がある。

 前述のように、小児慢性特定疾病の医療費助成が受けられるのは、18歳未満でがんと診断されて受給者証を取得した場合で、期限は最長で20歳になるまで。20歳を過ぎると、10代から治療を続けていたとしても、その治療費自己負担の限度額は、一般的な高額療養費制度と同じ金額だ。

自治体の小児・AYA世代のがん患者妊孕性温存治療費助成制度も

 「20代は、一般的に所得が少ないので、治療が長期間に渡ると厳しいのが実情ですが、いまのところ、AYA世代だからといって医療費の補助が受けられるような制度はありません。そういった中で近年増えてきたのが、小児・AYA世代のがんの患者さんに対する自治体の妊孕性温存治療費助成制度です」。国立がん研究センター東病院サポーティブケアセンター/相談支援センター・副センター長でがん相談統括専門職の坂本はと恵氏は、そう指摘する。

 妊孕性温存治療費助成制度は、化学療法、放射線療法などのがん治療によって生殖機能を失う可能性がある患者に対し、精子、卵子、受精卵(胚)、卵巣組織の凍結保存をする妊孕性温存治療の費用の一部を補助する制度だ。妊孕性温存治療には健康保険が使えず、一般的に卵子や受精卵、卵巣組織凍結にかかる費用は30万~60万円、精子の凍結保存は1~5万円前後と高額であるため、費用面で卵子や卵巣などの凍結をあきらめる人も多かった。

 事業名や対象年齢、助成費用は自治体によって異なるが、がん患者の妊孕性温存にかかる費用の助成制度を実施している府県は、埼玉県、神奈川県、山梨県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、和歌山県、広島県、香川県、福岡県などだ。千葉県いすみ市、群馬県高崎市、静岡県の熱海市・御殿場市・小山町・富士市・焼津市・藤枝市・牧之原市・吉田町・掛川市・菊川市・袋井市・磐田市など、市町でAYA世代のがん患者に対する妊孕性温存治療費補助を実施しているところもある。

 例えば、滋賀県では、43歳未満の県内在住がん患者を対象に、精子凍結は2万円、受精卵か卵巣組織の凍結は20万円、卵子凍結は10万円を上限に妊孕性温存治療にかかる費用の一部を助成している。熱海市・御殿場市・小山町・富士市など、静岡県内でこの助成を行っている市町では、40歳未満のがん患者を対象に、精子の凍結には2万円、卵子・受精卵・卵巣組織凍結には40万円が上限と助成金額が手厚い。

 「妊孕性温存治療費の助成を行う自治体は徐々に増えてきています。生殖医療機能の温存を検討している患者さんは、がん治療を受けている病院の相談窓口などで、住んでいる自治体にそういった制度がないか確認してみましょう」と坂本氏はアドバイスする。

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