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レポート

2020/01/21

かながわ血液がんフォーラム 3

治療の層別化で生存率アップを目指すリンパ腫の最新治療

福島安紀=医療ライター

 一方、T細胞由来のリンパ腫で多いのは、末梢性T細胞リンパ腫・非特異型(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)ALK陽性、ALCL・ALK陰性の4つの病型だ。NK/T細胞リンパ腫節外性・鼻型や日本人に多い成人T細胞白血病/リンパ腫もT細胞リンパ腫だ。腸や皮膚、鼻だけに発生するタイプなど、発生しやすい場所や治療成績は病型によって異なるが、標準治療は、シクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、ビンクリスチン(O)、プレドニゾロン(P)を併用するCHOP療法が主流。再発した場合には、年齢や全身状態、合併疾患の有無などによって、自家移植併用大量化学療法が検討される。

 「ALCLなどリンパ腫細胞の表面にCD30というタンパクを発現しているタイプの末梢性T細胞リンパ腫の標準治療は、近いうちに、ブレンツキシマブベドチン併用CHP療法に変わる見込みです」と、国立がん研究センター血液腫瘍科・病棟医長の丸山大氏は指摘した。

 ブレンツキシマブベドチンは、CD30というタンパクを発現しているリンパ腫細胞に結合し、細胞内で抗がん剤のMMAE(モノメチルアウリスタチンE)を放出してリンパ腫を攻撃する薬だ。日本人を含む、未治療のCD30陽性・末梢性T細胞リンパ腫を対象に行われた国際共同第3相試験では、ブレンツキシマブベドチン+CHP療法が、CHOP療法と比較して無増悪生存期間、全生存期間を有意に改善することが示された。

 そして、これまでB細胞由来のリンパ腫に比べて遅れていたT細胞リンパ腫に対する薬の開発は、近年、活発化してきている。再発・難治の末梢性T細胞リンパ腫の治療薬として、2017年にはフォロデシンとプララトレキサート、18年にはロミデプシンが承認された。リンパ腫の表面にCCR4というタンパクが発現している場合には、モガムリズマブも選択肢になる。

 「モガムリズマブは効く人にはよく効き、CCR4陽性のPTCL-NOSが再発した患者さんで皮膚に出ているリンパ腫がきれいになった人もいます。フォロデシンは飲み薬で、比較的マイルドな薬なので、比較的進行がゆっくりで皮疹が散発しているような再発症例に効果が期待できます。プララトレキサートは効果が早く出るのが特徴で、45%の患者さんに効果がありましたが、効果が出た人は全員1コース目から腫瘍が縮小し始め1年くらいは効果が持続しています。ロミデプシンも、40%には何らかの効果が出て、完全寛解率は25%でした。他にも、開発中の薬があり、治療効果を予測したうえで薬を選ぶ治療の層別化が進めば、治療成績がさらに改善するのではないでしょうか」と丸山氏は語った。

再発・難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫ではCAR-T療法も

 両氏の講演の後、リンパ腫の患者会である一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン理事長の天野慎介氏を司会に行われたQ&Aセッションでは、CAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法チサゲンレクルユーセル(商品名・キムリア)と維持療法などについて、会場の参加者から質問が出た。

 CAR-T細胞療法は、患者からTリンパ球を採取し、がん細胞の特定の抗原を認識して攻撃するように遺伝子改変して患者の体に戻し、リンパ腫細胞を攻撃させる治療法だ。19年3月、再発・難治の成人のびまん性大細胞型リンパ腫と小児・若年成人の急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療として承認された。

 濾胞性リンパ腫から形質転換してびまん性大細胞型リンパ腫になった患者も適応となるかとの質問に、丸山氏は、「形質転換した人も対象になります。形質転換してびまん性大細胞型リンパ腫になった場合には、自家移植か同種移植を行う選択肢ありますが、CAR-T療法も新たな選択肢になってくると思います」と回答した。

 ただし、CAR-T療法を実施している病院は、北海道大学病院、東北大学病院、九州大学病院など数施設に限られ、11月時点で、関東地方には実施施設がまだないのが実情という。国立がん研究センター中央病院も19年度内を目途に、準備を進めている段階だ。

 さらに、濾胞性リンパ腫でR-B療法後にリツキシマブ維持療法をやるべきかとの質問には、大間知氏は次のように回答した。「R-CHOP療法の後に、リツキシマブ維持療法をすると無憎悪生存期間が延びるというデータがあるのですが、BR療法ではR-CHOPに比べて免疫力が落ちやすいこともあり、その後リツキシマブ維持療法をやるかどうかは議論のあるところです。R-CHOP療法後の維持療法も生存期間の改善にはつながっていません。メリットとデメリットをよく聞き、自分の価値観に照らし合わせ、主治医とよく相談して決めるとよいのではないでしょうか」

 最後に、2人の講師が会場に集まった患者・家族にこう呼びかけて、リンパ腫のセッションが終了した。「悪性リンパ腫にはさまざまな種類があるので、有名人が亡くなったといっても、自分と同じリンパ腫とは限りません。新薬もどんどん開発されていますので希望を持ってほしい一方で、新しいものがいいとは限らず、科学的に評価しないと真実は分からないことも知っておいてください」(大間知氏)

 「インターネットなどの情報に惑わされず、分からないことは担当の医師に聞いたり、セカンドオピニオンを取ったりしながら、納得した治療を受けることが重要です」(丸山氏)

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