このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2019/11/05

がんに負けないお金の話 Vol.2

がん治療費の自己負担を軽減する「高額療養費制度」フル活用術

福島安紀=医療ライター

 免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬、ロボット手術、陽子線治療など、医学の進歩と共にがんの治療費が高騰している。治療費が高額になったとき、患者の自己負担を軽減するためにフル活用したいのが「高額療養費制度」だ。この制度の使い方には、若干複雑なルールがある。
 国立がん研究センター東病院サポーティブケアセンター/がん相談支援センター副センター長の坂本はと恵氏に、この制度をフル活用して少しでも自己負担を軽減する方法を聞いた。



限度額適用認定証を事前に提出しておけば窓口の支払額が最小限に

国立がん研究センター東病院の坂本はと恵氏

 高額療養費制度は、1カ月の医療費自己負担額が一定の上限額を超えた場合に、患者自身は超えた金額を払わないで済むか、後日払い戻しを受けられる制度。超過分は健康保険から支払われる。基準となる上限額は「自己負担限度額」(限度額)と呼ばれ、その金額は健康保険の加入者の年齢や所得によって異なる(表参照)。69歳以下で扶養家族になっている人は、公的保険の加入者の所得が限度額の区分の基準だ。

高額療養費制度の概要(2019年11月1日現在)

注)実際の自己負担限度額の区分は、保険料算定のもとになっている課税所得によって変わる。健保組合か共済組合の加入者なら標準報酬月額、国民健康保険の場合は旧ただし書き所得によって自己負担限度額の区分が決まる。

 「例えば、オブジーボ、キイトルーダなどの免疫チェックポイント阻害薬は、非常に高額であることが話題になったので、医療費を払えないから治療を受けられないと心配する患者さんも少なくありません。でも、高額療養費制度があるので、そういった高額な治療を受ける場合でも、患者さんの自身の負担額は、限度額の範囲内で済みます」と坂本氏は解説する。

 この制度を利用する際、まず知っておきたいのが「限度額適用認定証」だ。高額な医療費がかかりそうなときに、あらかじめ限度額適用認定証を提出しておけば、自己負担限度額を超えた金額を支払わないで済む。ただ、70歳以上で一般所得(年収約156万~約370万円)の人と現役並み所得で年収が約1160万円の人は限度額適用認定証を提出する必要がない。書類を提出しなくても、限度額を超えた額は窓口で支払わなくてよいことになっているからだ。

 「がんの最初の治療である初期治療では、限度額を超過することがほとんどです。がんと診断され、治療が必要と医師に言われた時点で、69歳以下の人と70歳以上で住民税非課税か現役並み所得で年収約1160万円未満の人は、加入している公的保険の窓口で『限度額適用認定証』をもらい、かかっている医療機関に提出しておきましょう」と坂本氏は強調する。

 限度額適用認定証は有効期限まで使えるので、一度提出すれば、期限が切れるまで再提出する必要はない。また、自己負担限度額を超えるかどうか分からない場合でも、とりあえず提出しておいて構わないという。

超過分の払い戻しを受ける場合は申請が必要な場合も

 高額療養費制度の対象になるのは、公的医療保険を使った保険診療費で、外来、入院の費用はもちろん、在宅医療の訪問診療料や訪問看護料も含まれる。ただし、入院時の食事療養費や差額ベッド代などは対象にならない。

 では、どのくらい負担が軽減されるのだろうか。例えば、69歳以下で一般所得(年収約370万~約770万円)の人が、がんの手術を受けて入院し総額100万円の医療費がかかったとしたら、限度額は8万7430円[8万1000+(100万-26万7000)×1%]だ。窓口負担は3割で30万円だが、あらかじめ限度額適用認定証を提出していれば、窓口での支払いは8万7430円で済む。自己負担額は約7割(21万2570円)軽減したということだ。

 70歳以上で一般所得(年収約156万~約370万円)の人なら、外来診療のみで1万8000円、外来と入院診療合わせた場合は5万7600円以上支払う必要はない。

 なお、69歳以下の人などが限度額適用認定証を提出していなかったとしても、限度額を超えた場合には、後から超過額が払い戻される。加入している公的保険にもよるが、基本的に高額療養費制度の利用には健保や国保への申請が必要で、申請しなければ限度額の超過分は戻ってこない。申請が必要かどうかは加入している公的保険の窓口で確認しておこう。高額療養費の申請を忘れていた場合は、2年前までさかのぼって申請ができる。

 注意したいのは、高額療養費制度の対象は、あくまで同じ月にかかった1カ月の医療費の自己負担額が基準になることだ。例えば、69歳以上一般所得の人が、10月31日に8万円、11月1日に5万円を病院の窓口で支払ったとしても、月が異なるとこの制度の対象にはならない。実際のがん治療は思い通りにはいかないが、高額療養費制度のことだけ考えれば、可能な限り高額な治療は同じ月にまとめて受けたほうがいいわけだ。

  • 1
  • 2
この記事を友達に伝える印刷用ページ