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レポート

2019/8/6

日本婦人科腫瘍学会より

照射技術が向上した子宮頸がんの放射線治療(2)

根治的治療には外部照射と小線源療法を併用

八倉巻尚子=医学ライター

 子宮頸がんの治療は進行の程度によって手術や放射線治療、化学療法が行われるが、その中で化学療法と放射線治療を同時に行う同時化学放射線治療も大きな役割を担っている。最近では照射技術の進歩で局所制御率が高まり、有害事象も減ってきている。
 7月に開催された第61回日本婦人科腫瘍学会学術講演会の教育プログラムで、埼玉医科大学国際医療センター放射線腫瘍科の加藤眞吾氏が、子宮頸がんの放射線治療と化学放射線治療について、最近のデータも含め、標準治療とその根拠となるデータを紹介した。臨床病期ごとの治療法と実際の化学放射線治療について2回に分けて掲載する。
 後半は化学放射線治療の方法について。


根治的な放射線治療は必ず外部照射と小線源治療を併用

 「子宮頸がんに対する根治的な放射線治療は、骨盤部の外部照射と小線源治療の併用を必ず行います」と加藤氏は強調した。外部照射では子宮頸部の原発巣から子宮組織、膣への浸潤部、および骨盤リンパ節領域に対して照射する。小線源治療は体内から放射線を照射するもので、子宮と膣内にタンデムとオボイドというアプリケーターを入れて照射する。治療スケジュールは、全骨盤照射を開始し、途中から中央部分を遮断した照射と小線源治療による腔内照射を行う。化学療法はシスプラチンの週1回投与を、毎週の外部照射と併用して行う。

 子宮頸がんに対する小線源治療の重要性に関し、米国National Cancer Data Baseからの報告では、小線源治療を行った場合に比べ、SBRT(体幹部定位放射線治療)やIMRTといった外部照射のみで「小線源治療を行わなかった時には非常に予後が悪くなったという結果が出ています」(Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2014;90(5):1083-90)。

 「したがって、小線源治療は必須の治療となりますが、日本でも小線源治療が行われないことがあります」と加藤氏。根治的(化学)放射線治療が実施された患者で、小線源治療が行われなかった理由を調べたところ、腫瘍が骨盤壁まで進展していたため、小線源治療の適応ではないと判断したという回答が返ってきたという。「しかしこれは誤りです。小線源治療による通常の腔内照射で多くの腫瘍は制御可能です」。膣の中に入れたオボイドの間隔を調整すること等で浸潤部をほぼカバーすることができるため、Ⅰ期からIVA期まで全て小線源治療の適応になるという。「小線源治療を使わないと、原発巣は制御できません」と加藤氏は述べた。

 さらに近年は小線源治療が進歩し、3次元画像による画像誘導小線源治療(3D-IGBT)が広く行われるようになっている。子宮と膣内にアプリケータを挿入した状態でCTやMRIなどの3次元画像を撮像し、子宮頸部の腫瘍、および膀胱・直腸・S状結腸などの正常組織の位置関係を確認して、精度の高い治療計画を作成することで、病変の大きさや形に合わせた照射が可能となる。小さい病変の場合は高線量があたる領域を狭め、腸や膀胱への線量を減らして有害事象の発生を抑える。反対に、大きな病変や非対称の腫瘍では組織内照射を追加して線量不足を補うという。

 国内外の3D-IGBTの治療成績では、「III期およびIVA期に限っても、80%以上の局所制御率が報告されています。なおかつ直腸・膀胱の有害事象の発生頻度は0から5%程度と非常に低く抑えることができます」。

化学放射線治療の有害事象は減少へ

 化学放射線治療中に起こる急性障害(治療開始から3カ月以内)として、白血球・好中球減少などの血液毒性、嘔気や嘔吐、食欲不振、下痢、放射線膀胱炎による頻尿や排尿時痛などがある。これらは「治療が終われば必ず回復します」。一方、治療が終わった後に起こる遅発性障害(治療開始から3カ月以降)には、放射線直腸炎による血便や肛門痛、ひどくなれば直腸膣瘻(ろう)が起こることもある。また放射線膀胱炎による血尿や頻尿、あるいは膀胱膣瘻になる場合も。放射線小腸障害により腹痛や腸閉塞が起こる可能性もある。

 外部照射と膣内小線源治療を行った患者(1148人)の20年間にわたる国内データによれば、直腸や膀胱、小腸に起こった有害事象(グレード1~4の全てを含む)の累積発生頻度はおよそ20%だった(Cancer 2005; 103:92-101)。直腸では最初の5年間に主に発生していたが、膀胱と小腸の有害事象は5年以降も発生していた。このうち、グレード3以上の重度の有害事象の累積発生頻度は小腸では8%、直腸は5%、膀胱は1%だった。発生時期は、直腸では5年以内に発生することが多いが、小腸の有害事象は5年以降も発生していた。そのため「長期のフォローアップが必要となります」(加藤氏)。

 なお、海外の有害事象の発生頻度は、先述の化学放射線治療のRTOG90-01試験では、直腸におけるグレード3以上の有害事象は約9%と、日本の報告に比べて多かった。「日本の放射線治療方法では直腸や膀胱への線量を低く抑えることができます。しかも現在では3D-IGBTによって局所制御率の向上と、有害事象のさらなる低減が報告されています」と加藤氏は話した。

 そして加藤氏は「IB1・IIA1期では放射線単独治療は手術と並んで標準治療であり、IIB期からIVA期の標準治療は化学放射線治療です」とまとめた。またI・II期術後の再発中・高リスク群に対する補助療法は(化学)放射線治療で、「術後の放射線治療にはIMRTをお勧めしたいと思います」。さらに根治的な放射線治療は外部照射と小線源治療の組み合わせで行い、「このときの小線源治療では3D-IGBTをお勧めしたいと思います」と述べた。

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