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レポート

2019/06/04

第71回日本産科婦人科学会より

卵巣がんのタイプに合わせ治療の個別化が進む(薬物療法編)

薬剤の開発は進むがバイオマーカーの発見が課題

八倉巻尚子=医学ライター

卵巣がん初回治療の流れ

 これまでのエビデンスと進行中の臨床試験を踏まえて、岡本氏は卵巣がん治療の流れを以下のように説明した。初回治療において、初回手術(PDS)が基本ではあるが、高グレード漿液性がん、高グレード類内膜がんではBRCA遺伝子の検査を行って、変異が認められれば「TC療法+オラパリブが標準になっていく可能性があります」。BRCA遺伝子野生型には、TC療法、またはJGOG-3016試験で有効性が示されたdose-dense TC療法、そしてベバシズマブのバイオマーカーがまだ見つかっていないため、どのような患者が適しているかは明らかでないが、TC療法+ベバシズマブが選択肢となる。

 一方、「明細胞がんや粘液性がんには新たな薬剤開発が必須です」。ただ、免疫チェックポイント阻害薬は期待されるという。ニボルマブで完全奏効が得られた2例のうち、1例は明細胞がんで完全消失が示されている(J Clin Oncol. 2015;33(34):4015-22)。また岡本氏らは明細胞がんで非常に高い頻度で見られるARID1A変異に着目し、国立がん研究センターとの共同研究で、ARID1A欠損がんに対して合成致死を利用した治療法の開発を進めている(Cancer Cell 2019;35(2):177-190.e8.)。

 まとめとして、岡本氏は「進行卵巣がん症例ではPDSでR0を目指すこと、また再発卵巣がん症例でもR0を目指すことが重要です。将来的に分子標的治療薬の進歩で明細胞がんや粘液性がんも克服できる時代になれば、進行卵巣がんの手術をもう少し低侵襲手術に移行できる可能性があります。血管新生阻害薬やPARP阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬、さらには合成致死などを利用した新たな薬物療法に期待がかかりますが、やはり最適なバイオマーカーの発見が真のPrecision Medicineにつながると思っています」と話した。

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