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レポート

2019/05/14

つらくないがんの療養を目指して

1人で我慢しないで、訴えて

医療用の麻薬を正しく知ってがんの痛みを取る(3)

八倉巻尚子=医学ライター

 「麻薬」というと違法な薬が連想され、「こわい」「使い始めたらやめられなくなる」「寿命を縮める」という印象がある。しかし医師が処方する医療用麻薬はがんの痛みを減らし、生活をしやすくする。
 3月に東京と大阪で市民向けシンポジウム「がんの痛みは正しい知識で取る〜医療用麻薬はどんな薬でどう使われるのか?」(主催:厚生労働省、共催:日本緩和医療薬学会)が開催された。シンポジウムの内容を3回に分けてお伝えする。第3回は、医療用麻薬の上手な使い方について。


 竹内氏は、年会長を務めた昨年の第12回日本緩和医療薬学会年会で、「緩和医療は、重い病を抱える患者さんやご家族のさまざまな苦痛をやわらげ、より豊かな人生を送ることができるように支える医療です」と説明した。痛みをコントロールするために、モルヒネなどの医療用麻薬が使われることがあるが、「がんによる痛みがある状態で、医師の管理のもとで適切に使う限り、中毒になることはありません」。そして「痛みは取り除くことができる症状であり、そのための緩和ケアを受ける権利は誰にでもあります。それを多くの専門家がサポートします」と話したという。

医療用麻薬はどのように選ばれているか

 「痛みは見た目にはわからないので、言わないと伝わりません」。痛みを伝えるときは、いつから、どのあたりが、どの程度、どんなときに、どのように、痛かったのか・痛いのかを説明する。その際に、国立がん研究センターがん対策情報センターの「がんになったら手にとるガイド」が有用だと話した。

 医療用麻薬にはいろいろな剤形の薬がある。錠剤は、飲みやすい、薬の苦味をカバーできる、薬の溶け方を調整できるという特徴がある。舌下錠や、頰と歯茎の間に入れるバッカル錠は、形は錠剤と同じだが、水がなくても服薬が可能で飲みやすく、効果が早く出てくることが特徴。散剤は、薬の量を調整しやすいが、患者さんによっては飲みづらいこともある。液剤は、飲みやすく、家族も飲ませやすい。貼薬は、飲み込みが悪いあるいは飲み込みが難しい場合でも吸収されるという利点がある。注射剤は、効き目が速い速効型のものと、効果が長く続く持続型のものがある。

 剤形によって効果発現までの時間や、効果の持続時間が異なるため、「これらの中から患者さんの状態やご家族がどのように関われるかで、薬を選んでいきます」。強い痛みに対して在宅で主に使われる医療用麻薬は、モルヒネ、オキシコドン、ヒドロモルフォン、フェンタニルで、どれにも2剤形以上がある。「効果が持続型のものと、効果が早く出てくるもの」があり、モルヒネの場合は錠剤、液剤、坐薬、注射剤などがある。

 一般的に痛みの治療は、決まった時間に使う「定時薬」と、痛みが治らなかったときに追加で使う「臨時薬」の2種類を組み合わせて行われる。効果の長く続くものが定時薬、効果発現の早いものが臨時薬となる。

 定時薬を飲んで常時痛みを取り除くことが勧められているが、「定時薬だけで、臨時薬は我慢しよう」「痛いときだけ臨時薬を飲めばいい」という飲み方をしている患者さんもいると竹内氏。また定時薬を時間どおりに飲んでいても痛みが出てくるときがあるが、「定時薬を早めに飲むのではなく、そのときは臨時薬を使うことが勧められます」と話した。そして「臨時薬をどのタイミングで飲んだか、どのくらい飲んだかは重要な情報なので、メモをしておいて、医師や薬剤師に伝えてほしい」とした。

 ただ、「どの組み合わせが良いかを決めるまでに数日かかることもあります。医師や看護師と話して、身体にあった組み合わせを探してもらい、苦痛を和らげましょう」「痛みや苦痛は気のせいではありませんし、気合いで乗り切れるものでもありません」と話した。

医療用麻薬で出やすい副作用とその対策

 医療用麻薬の副作用としては、眠気・だるさ、吐き気、便秘が出ることが多いが、「副作用も1人で我慢しないで、訴えてほしい」と竹内氏は言う。

 眠気は、飲み初めに起きやすいが、数日すると慣れてくる。また「痛みで眠れなかった日が続いていたことも眠気の理由の1つで、医療用麻薬の服用後、眠気が強く感じることもあります」と竹内氏は説明した。また(第1回で紹介した)鈴木氏によれば、眠気は患者の約2割程度に見られるが、眠気は過量投与の時に起きることがあるので、用量の調節も考える必要があるだろうとしている。

 吐き気も、起こりやすいのは飲み始めで、数日すると慣れてくることが多い。しかし「この薬を飲むと気持ちが悪くなる、というのを覚えてしまうと、その後吐き気止めを使っても効果が出ないことがあります」と竹内氏。そのため、医療用麻薬を使うときは最初から吐き気止めを使って予防することもある。鈴木氏によれば、吐き気は患者の6割くらいに起き、対策として、嘔吐中枢を抑制する薬(プロクロルペラジン)、消化管に働いて抑える薬(メトクロプラミド)、乗り物酔いの時に使う薬(トラベルミン)なども吐き気を抑える作用がある。

 また医療用麻薬には腸の動きをゆっくりさせる作用があるため、便秘も起こりやすい。麻薬による便秘を治療する薬(ナルデメジン)があるが、従来からの下剤(酸化マグネシウム、センナ製剤)を使うことで、便秘を予防することはできるという。

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