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レポート

2019/03/12

愛知県がんセンター公開講座より

20代・30代女性で増えている子宮頸がん

出血やおりものなど気になる症状があれば躊躇せず早期の受診を

八倉巻尚子=医学ライター

 女性に特有のがんで、乳がんに次いで多いのが子宮頸がん。しかも20代から30代女性での罹患率が急増している。愛知県がんセンター中央病院婦人科部部長の水野美香氏が、同センターの公開講座「女性特有のがんの最新治療」で、「若い女性にも知ってもらいたい子宮頸がんの診断と治療、そして予防」と題して講演。子宮頸がんの現状と治療、さらにがん教育や子宮頸がん検診の重要性について説明した。


子宮頸がんは誰がなっても不思議ではないがん

 子宮にできるがんには、子宮体がんと子宮頸がんがあるが、それらの特徴は大きく異なる。子宮体がんは、子宮の内側にある子宮内膜にできるがんで、女性ホルモンが関与し、肥満の人でリスクが高く、50代から60代の女性に多い。乳がんとの関連もあり、一部には遺伝も関係している。子宮頸がんは、子宮の頸部にできるがんで、遺伝は関係なく、ウイルス感染が主な原因とされている。扁平上皮がんと腺がんに分けられ、扁平上皮がんが7割を占める。

 日本で毎年およそ1万人が子宮頸がんになり、子宮頸がんによる死亡は約3000人。1日におよそ8人の女性が子宮頸がんで死亡していることになる。以前は40-50代に多いがんだったが、「最近は20代から30代の女性で子宮頸がんになる人が増え、死亡率も増加しています」と水野氏は現状を説明する。

 子宮頸がんはヒトパピローマウイルスの感染が原因だといわれている。性行為でヒトパピローマウイルスが膣内に侵入し、傷口などから子宮頸部に感染する。女性の約8割は一生のうち一度はヒトパピローマウイルスに感染するといわれており、「誰ががんになっても不思議ではない」。通常2年ほどで8-9割の女性ではウイルスは自然に消失するが、持続感染をすると、前がん病変になり、その後、がんになっていく。感染からがん化までは長い経過を辿り、10年以上かかるといわれているが、前がん病変になるまで3年ほどの人もいるという。現在のところ、誰ががんに進展しやすいのかなど、不明なところがまだ多いという。

子宮頸がんへの経過と治療

 子宮頸がんは、前がん病変(異形成、上皮内がん)から、早期がん、そして進行がんとなる。前がん病変の中でも、異常な細胞が少ない軽度異形成や中等度異形成に対しては、経過観察や、4カ月から半年の定期検診が一般的である。高度異形成や上皮内がん、あるいは「顕微鏡でしかわからないような」微小浸潤がんでは、外科的切除が行われる。外科的切除として最も多く行われているのが、子宮頸部円錐切除術である。また妊娠を希望しない人などでは子宮全摘術が選択されることもある。

 子宮頸部円錐切除術は、電気メスやレーザーメスなどで子宮の入り口を円錐状に切除する手術である。この手術によって確実な診断ができ、子宮を温存することも可能で、「これだけで治る方もたくさんいます」。しかし円錐切除をすると、手術をしてない人と比べて早産率や帝王切開率が有意に高くなるといった面もある。またウイルス感染が持続していた人など、一部の人で再発することがある。

 明らかにがんが確認できる浸潤がんに対しては、外科的切除や放射線治療、抗がん剤による薬物療法が行われる。外科的切除では広汎子宮全摘術が行われる。これは子宮と、子宮を支えている靭帯や血管、膣の一部を切除し、リンパ節を郭清する手術で、「婦人科で行う1番大きな手術」である。手術で神経が傷つくと、術後に尿が出にくくなったり、リンパ節郭清後にリンパ浮腫ができたりすることがある。

 子宮全摘術は、以前は開腹手術で行われていたが、最近は腹腔鏡下手術やロボット支援下手術でも行われている。開腹手術と違い、小さな穴だけで手術を行い、切除した子宮を膣から取り出す手術だが、実施には一定の基準があり、どの手術方法で行うかは「主治医の先生と相談してください」と水野氏は話した。

手札が少し増えてきた子宮頸がんの薬物療法

 子宮頸がんで使える抗がん剤は少なかったが、2015年5月に分子標的薬である血管新生阻害薬のベバシズマブ(商品名アバスチン)が保険承認された。「従来の抗がん剤だけでは難しかった進行がんに対し、ベバシズマブを併用することで治療成績が上がってきています」

 また2018年12月には、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブの、癌化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する固形がんへの適応拡大が承認された。固形がんの中には子宮頸がんも含まれる。マイクロサテライト不安定性(MSI)とは、DNA複製の際に起こる塩基配列のエラーを修復する機能が低下していることを示すもので、腫瘍細胞を使った検査で調べることができる。ただ、MSI陽性になる子宮頸がんは実は少ない。「ペムブロリズマブの適用になる患者さんの頻度は低いが、治療の手札は少し広がったかなというところ」と水野氏は話した。

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